ザ・ミッション 人生の目的の見つけ方

今日ご紹介する本は、ドクター・ジョン・F・ディマティーニ 著の「ザ・ミッション 人生の目的の見つけ方」です。この本の著者であるドクター・ジョン・F・ディマティーニは、ベストセラーになった「ザ・シークレット」にも出てきた人みたいです。小学生の頃に学習障害と診断され、一時はホームレス同然の生活をしていたらしいのですが、今では心理学や哲学、天文学など275以上の分野の知識を身につけているとか。275以上ってすごいな。

この本は、以下のように構成されています。

  • 第一部:人生の目的=ミッションを知る
  • 第ニ部:人生のスキルを磨く
  • 第三部:自分の人生を創造する
  • 第四部:リーダーとしての資質に目覚める

第一部で自分の人生の目的(ミッション)は何かを考え、第二部ではその目的(ミッション)を達成するために何に力を注いでいけばいいのかを明らかにします。第三部ではミッションを元に、自分の人生の総合計画を立てていきます。そして最後の第四部にはミッションを突き詰めていく過程でその分野のリーダーとなり、世の中にどうやって影響を与えていくかが書かれています。

この本の大きな流れを追っていくと、この手の自己啓発本では特に珍しくはない話の進み方のように見えますね。質問を通して自己分析を行って自分のミッションを明らかにし、それを元にビジョンを作る。そのビジョンを生きることで世の中に影響を与える(貢献する)という考え方は、以前このブログでご紹介した本でも度々語られている考え方です。

それでも僕がこの本をご紹介しようと思ったのは、個々の論点の中に非常におもしろい考え方が散りばめられているからです。いくつかご紹介したいと思います。

全ての人は、それぞれの「価値観の優先順位」に従って生きています。そしてその順位は、意識的に、もしくは無意識のうちに感じている「欠落」によって決定されています。

著者は、人生の目的を見つけるにあたって自分の価値観の優先順位を知る事がとても重要だと説いているのですが、それを決めているのは「欠落」だと言っています。欠落とは、自分が満ち足りていないと「思っている」部分のことです。つまり、欠落していると思うということは、それについて価値を感じているということなのでしょうね。

人生の目的のヒントは、自分の好きなこと、夢、ワクワクすること、など比較的ポジティブな部分にあるという考え方が多いですが、人によっては強烈な欠乏感という表われ方をすることもあるのではないか、という点でとてもおもしろいと思いました。

続いてはこれ。

「好きなことをしなさい。お金はあとからついてきます」とよく聞きますが、お金を稼ぐ道が1つしかないという意味ではなく、理想の職業を手に入れたときにやっと人生が花開くという意味でもありません。賢明な人は、何をしているかに関係なく、自分がしていることを好きになるのが鍵だとわかっているのです。

好きなことを突き詰める。言うのは簡単ですが、状況によってはリスクを負わなければできない、現実的に考えたらそんなリスクは取れないと考える人もいるでしょう。一方で、今自分がやっていることと好きなことは関係ない、だから今やっていることは無駄だと考えたり、今やりたくないことをやらない言い訳にしてしまうこともあります。

それに対して、著者は「好きなことをしても、していることを好きになっても、どちらでもいい」と言っています。世の中には多様な考え方があります。好きなことを突き詰めるために大きな決断をする生き方も素晴らしいですが、今やっていることを好きになって、それを一生懸命頑張るという生き方も、やはり立派だと思います。

最後はリーダーシップについて。この本を読んでいて、突然「リーダーシップ」という言葉が出てきたので少し違和感を感じました。が、よく読むと著者が言わんとすることがよくわかったような気がします。「リーダー」というのは上司・部下といった立場のことでもなければ、気質や性格のことでもありません。そうではなく、マインドセット、つまり心の在り方のことを言っているのだと思います。

そういう意味では、誰でもリーダーのマインドセットを身につけることができます。そのマインドセットを身につけるための方法についても触れられています。面白かったのは、「1日30分間、特定の分野について学ぶと、7年後にはその分野のリーダー(ここでは第一人者という意味)になれる」というお話。もしそれが本当だとすると、好きなことをコツコツ7年間続けていたら、気が付いたらその分野の第一人者になれるということですよね。ちょっとワクワウしますね。

人には最低一つ、否が応でもリーダーシップを持たなくてはならない分野があると思います。それは自分の人生です。この本にも「人生の主人公」という言葉が出てきますが、自分の人生をできるだけ思ったように動かしていくために、リーダーのマインドセットを身につけておくといいかも知れませんね。

本書には、ここでご紹介した以外にも沢山の論点が詰まっています。基本はベーシックな内容なので、あまりこういった本を読まない方にもお奨めですし、色々読まれている方にも様々な観点を提供してくれる本だと思います。機会があったら是非読んでみてください。

あなたの人生には使命がある

今日は、アルフォンソ・リナーレス・フェルナンデス 著の「あなたの人生には使命がある」という本をご紹介したいと思います。あとがきによると、著者は南米ベネズエラに住むネット事業家で、プロの書き手ではないそうです。しかし、その主張はシンプルでとてもわかりやすく、とてもいい本に出会えたと思っています。

本書の最大の主張はタイトルに言い尽くされています。著者は、妹さんの死をきっかけに今までの人生を振り返り、自己探求の果てに「誰の人生にも使命がある」という考えてに至ったそうです。使命と聞くと漠然としていますが、「生きる目的」や「存在意義」と置き換えてもいいですね。

ではそれは一体どのようなものなのでしょうか。様々な考察を経て著者が出した結論はこうです。

人生に託された「使命」とは、「情熱」に駆られ、みずからの「才能」を生かし、世の中に最大限の「善」を施すこと。

著者の思考の過程は本書に詳しく解説されているので読んで頂ければいいのですが、この定義には本当に共感します。「情熱」+「才能」+「善」が使命だと言っているのですが、つまりはこういうことだと思います。

  1. 自分が情熱を持てることをやりなさい
  2. 自らが持つ才能を生かしなさい
  3. 世の中に対して貢献しなさい

どれか一つを満たすものが使命なのではなく、上記三つを全て満たすものが使命、つまり僕たちがやるべきことだということです。三つ全てを同時に考えるのはなかなか難しいので、それぞれ別々に考えていくといいと思います。

まずは自分がやりたいことについて。仕事を選ぶとき、「自分が何をやりたいのかわからない」という話を聞くことがあります。でもよくよく聞いていると、現実的な選択肢の中に自分のやりたいことがない、ってだけだったりします。この「現実的な選択肢」ってのが曲者で、制約を一旦無くすと、目を輝かせて好きなことを語り出したりするんですよね。

自分がやりたいこと、そのものずばりの仕事に就くのは難しいかも知れません。リスクを取って一歩踏み出す人もいますが、そんなリスクは取れない、という人も是非「自分はなぜそれがやりたいのか」を深く追求してみて欲しいと思います。

やりたいことの本質に気がつくと、その実現方法が一つではないことに気が付きます。つまり、自分がすぐ思いつく「仕事のリスト」から選ぶのではなく、自分がやりたいことに少しでも関わっていそうなことを探したり、作り出したりするという選択肢もあるということを覚えておくといいかも知れません。

次に才能について。僕たちは遺伝や育った環境の影響を受ける以上、個性ってやっぱりありますよね。その意味で不得意なことよりも得意なことをやった方がいい、というのはその通りだと思います。でも、才能を個性と考えれば、才能がない人なんていません。自分の才能をしっかり認識し、制限する方向ではなく、活かす方向で考えたいですね。

「何も特筆すべきスキルがない」という意味で「自分には何の才能もない」と言う人がいますが、それは自分の特性を把握していないか、それを活かす方法がまだ見つかっていないだけだと思いますよ。自分の武器は何なのか、棚卸して見ましょう!

そして最後に貢献です。貢献と言っても、ボランティアをやれということではありません。情熱と才能を使って誰の為に何をするのか?ということです。貢献というとちょっとハードルが高いですが、基本的には仕事をしていれば(ビジネスだけに限らず、家事だって育児だってそうです)誰かに何らかの形で役に立っていますよね。

ただ、ここで言いたいのは、自分の情熱と才能を最大限に活用し、「誰に」「何を」貢献するのかを意識すれば、さらに多くの貢献ができるのではないか、ということだと思います。人の欲求は突き詰めていくと貢献欲求になるとも言われています。確かに、誰かの役に立ったと思った時はとても気分がいいですよね。

才能を活かしてやりたいことをやり、その結果誰かの役に立つ。それを使命と呼ぶなら、僕は是非自分の使命を見つけて全うしたいと思います。僕の個人的な意見も沢山書いてしまいましたが、とてもよい本なのでオススメです!

ネイティブアメリカンの言葉(解釈編)

以前に「ネイティブアメリカンの言葉」という記事を書きました。Webで見つけた文章なのですが、今日はその文章を僕なりにどう解釈したかを書きたいと思います。

全ての人間は、生きる目的と進むべき方向を持っている。それは、私たちがこの世に生を受ける時、私たちの心に刻まれるものだ。

生まれる時から運命は決まっている、と取れなくもないですが、そのような運命論は「生まれた時から全て決まっているのなら努力しても無駄」という考えを生みやすいのであまり好きではありません。そうではなく、進みやすい方向というのが予め決まっている(才能、適正など)と解釈しました。僕たちは少なからず遺伝の影響を受けている以上、これは真実だと思います。

そして「生きる目的」についてですが、元々あるものなのか、それとも自分で創り出すのかはあまり重要ではないと考えています。僕個人はどちらかと言えば全人類に普遍的な目的などない(強いて言えば生存して遺伝子を残すという動物的な目的でしょうか)と思っています。でも本当に大事なのは、今自分が何のために生きているのかを自分なりに認識できているかどうかだと思います。

さらに、私たちはその目的や方向を見つけるための誘導装置へアクセスすることができる。私たちはその誘導装置を理解する必要がある。それは直観、内なる声、衝動、洞察力または感覚などとも呼ばれている。

生きる目的や方向などというタイソウなものは、そうそう見つかるものではないと思います。僕もまだまだボンヤリしています。日々色々なことに追われていると、そんな事を考える暇もなく毎日が過ぎていってしまいますよね。でも、自分と向き合って、この先どうなりたいのか、何をしたいのかをじっくり考えることも大事だと思います。その時に耳を傾ける、自分の内なる声のようなものを直観(ここで言う誘導装置)と呼ぶのではないかと思います。

ひとたび目的と方向を突きとめたなら、私たちは個性的なスキル、才能や能力を与えられる。そのために、毎日神と共に祈り、瞑想しなければならない。

僕は無宗教なので神様がいるのかどうかはよくわかりませんが、自分の進むべき方向性や生きる目的がもしはっきりとわかったなら、それはものすごい力を発揮できると思います。祈り、瞑想は前述の通り自己の対話、という風に解釈しています。

そして、僕が最も気に入っているフレーズが下記です。

強く、自信を持って生きるために、常に以下の3つの質問に答えられなくてはならない。

  • 何故私は存在しているのか?
  • 私は誰なのか?
  • 私は何処に向かっているのか?

もしこの3つの質問に答えられるなら、あなたは大丈夫だ!

まず一つ目。なぜ私は存在しているのか?これは自分の存在意義や生きる目的を問う質問です。使命やミッションと言ってもいいかも知れませんね。そして二つ目。私は誰なのか?これは自分が自分である所以、つまりアイデンティティのことです。最後。私は何処に向かっているのか?自分や自分の環境がこの先どうなっていくかの未来像、つまりビジョンのことだと思います。

纏めてみると、

  • 自分の存在意義(使命・ミッション)
  • アイデンティティ
  • ビジョン

がきちんとわかっていればあなたは大丈夫だよ!ということなのだと思います。ではどれも難問であるこれらの質問にどう答えればいいのでしょうか。

まず、アイデンティティを確立するということは、自分のことを語るストーリーを持っているということです。そのためには自分のことを良くわかっている必要がありますよね。アイデンティティが崩壊した状態で、存在意義や将来のビジョンなんて考えられません。というわけで、最初に固めるべきはアイデンティティな気がします。

次は存在意義かビジョンか。グロービス・マネジメント・スクールMBA用語集によれば、ビジョンとは『経営理念で規定された経営姿勢や存在意義に基づき、ある時点までに「こうなっていたい」と考える到達点』とあります。この定義ではビジネスに限っていますが、一般化して考えることもできます。もしビジョンが存在意義に基づくのだとしたら、存在意義を認識していない状態でビジョンを描くことはできません。

というわけで、僕はアイデンティティ→存在意義→ビジョン、という順に考えていけばいいと思っています。そうは言っても、それぞれ一朝一夕で答えが出るような問題ではありませんが、まずは「私は誰なのか?」に答えられるよう、自己分析や自己との対話から始めてみては如何でしょうか。

「アイデンティティ」「存在意義」「ビジョン」については、僕自身とても関心が深い分野なので、今後も関連したトピックをどんどん記事にしたいと思っています!