サーチ! 富と幸福を高める自己探索メソッド

今日は、チャディー・メン・タン 著の「サーチ! 富と幸福を高める自己探索メソッド」という本をご紹介します。著者はGoogleの人材育成担当者で、実際に行われているGoogleの研修プログラムを「オープンソース」として広めるために本にしたものだそうです。

プログラムの共同開発者は「EQ こころの知能指数」で有名なダニエル・ゴールマン。この人が関わっているのと、Googleではどんな研修が行われているのか、という興味から手にとって読んでみました。

この本のテーマはやはりEQ。対人関係や仕事の能力に影響するとされる、「情動的知能指数」のことです。著者はこのEQの中核を成すのは自己を知ることであり、そのためには「マインドフルネス」という心のトレーニングが重要だと説いています。

EQの詳しい解説はここでは省略しますが、EQは以前ご紹介したハワード・ガードナーの言うところの、「内省的知能」と「対人的知能」と対応しています。自分を省みる能力、他者と共感する能力、ということなのですが、その基礎となるのがやはり自己との対話、つまり自分をよく知ることなのだと思います。

では、ここで出てくる「マインドフルネス」とは何なのでしょうか?マインドフルネスの定義は色々あるようですが、「特別な形、つまり意図的に、今の瞬間に、評価や判断とは無縁の形で注意を払うこと」あるいは「自分の意識を今の現実に敏感に保つこと」などと言われているようです。そして、このマインドフルネスを鍛えるために瞑想をせよ、と言うのです。

瞑想?そう、瞑想です。正直、僕は今まで瞑想というものを科学的に捉えたことはありませんでした。自己啓発系の本を読んでいると、結構瞑想の話が出てくるのですが、「何か怪しい」という理由であまり注意を払ってきませんでした。僕はスピリチュアルな考え方は嫌いではありません。が、いざ自分が実践するとなると「何故それがためになるのか」という問いに納得できないとなかなか手が出ないのです。

しかし、この本を読んで瞑想に関す捉え方がガラッと変わりました。著者はこう言います。

瞑想には謎めいたところは少しもない。じつのところ、瞑想はたんなる心のトレーニングにすぎない。

よく考えてみれば著者はGoogleの社員で、元エンジニアだと言います。その彼が「瞑想が重要だ」と言うのはなかなか面白いですが、近年の神経科学の発展により、瞑想の効果が科学的にどんどん証明されているのだと言います。それどころか、あのダライ・ラマも瞑想の科学的な研究に好意的だと言います。以下はダライ・ラマの著書より。

もし科学的分析によって、仏教の主張の一部が誤りであることが決定的に立証されるようなことがあれば、私たちは科学の発見を受け入れ、誤った主張は捨てなくてはならない。

というわけで、僕も瞑想をやってみよう!という気になりました。しかし、なんか難しそうだしちゃんと続けられるだろうか、という心配もあります。ご心配なく、この本ではかなり低いハードルで、誰でも気軽に瞑想を体験し、持続できるような方法を沢山紹介してくれています。しばらく寝る前に少しずつ、瞑想をしてみようと思います。

さて、瞑想によってマインドフルネスとやらを鍛えたとして、どんな良いことがあるのでしょうか?瞑想とはつまり、自分の「注意」をコントロールする心の技術なのだと言います。自分の注意を意のままにコントロールできれば、自分の情動がどこに向いているか、自分はどんな人間なのか、などを明確に把握できるようになるそうです。そして自分をよく知るということは、自信に繋がります。

他にも自己統制、自己動機づけ、共感やリーダーシップ、こういったもの全てにマインドフルネス、つまり自分の注意をコントロールする能力が関わっているというのです。

自己認識(自分との対話)と他者との共感に一体どのような関係があるのかと疑問に思いながら読んでいたのですが、どうやら自己認識と共感は、使っている脳の部位が似通っているそうです。つまり、自己認識が優れている人は、共感能力も高いというわけですね。

さて、読んでいるだけでもとても面白いこの本ですが、実際にGoogleで高い効果を上げているとのことですので、是非僕もやってみようと思っています。興味がある方は、是非読んで、そして実際に試してみて頂きたいと思います。

個人的には、僕もエンジニアの端くれであること、そしてどういう訳か今は「人がよりよく生きるにはどうすればいいか」にとても興味があること、などの点で著者に親近感を抱きました(もちろん、ステージは全く違いますが)。彼の人生の目的は、この「サーチ!」というプログラムを通じて世界を平和にすることだそうです。

僕もゆくゆくは自分の考えを纏めたプログラムを作って世の中に広めていきたいと考えています。そういう意味では、著者の考え方、アプローチ、そして出来上がったプログラムも、全てとても参考になったと同時に、刺激にもなりました。大きな目標や夢を持っている方は、そういう視点で読んでみても面白いかと思います。

完結版マイ・ゴール

今日は、リチャード・H・モリタ 著の「完結版マイ・ゴール 成功の秘訣は“選択”そのものにあった!」という本をご紹介したいと思います。「完結版」と付けられていますが、他にも新装版、ダイジェスト版など、Amazonで探しただけでも4つのバージョンが存在します。バージョン間の違いはよくわかりませんが、完結しているのならそれを読もう、ということで完結版を読んでみました。

この本はいわゆる成功哲学、自己啓発本にジャンル分けされると思いますが、主張はとてもわかりやすく、シンプルです。「はじめに」の冒頭には以下のように記されています。

結論から。
人生は選択の連続であり、今の人生は過去の選択の結果です。
そして未来は、これからあなたがどんな選択をするのか、その選択によってすべてが決まります。
もちろん目標を達成していくプロセスにおいては、たゆみない、人一倍の努力は当然のことですが、成功と自己実現の真相には、そうした「積極的に懸命な努力をしたから」というだけでは到底説明することのできない重要な事実が横たわっています。その事実こそ“選択”の問題だったのです。

成功哲学というと、いかに成功するかという方法論だと考えがちです。つまり、どのように考え、行動すれば成功できるのか、というプロセスに着目する考え方です。しかし本書では、プロセスも勿論重要だけれども、それよりも大事なのは「どんな目標を選択するのか」なのではないか、と説いています。

著者がこのような考え方に至った経緯が本書の中でも説明されていますが、当初はやはり「どうすれば成功できるか」という論点がスタート地点だったようです。それを調べるべく、成功者にインタビューを重ね、共通項目を抽出して「究極の成功ノウハウ」を作ろう、という研究を始めました。

しかし研究を進めていくうちに、ほとんどの成功者は自分がどうやって成功をつかんだのか、その本当の理由を上手く説明できていない、ということに気が付きました。人一倍努力をした、成功した姿を鮮明にイメージした、ポジティブだった、などと答えは返ってくるのですが、よく考えてみると的確な答えになっていない。そこからさらに突き詰めていった結果、実は目標の選択そのものが成功者たちに意欲を与え、努力を引き出したという結論に達したそうです。

僕はこの考え方はとても共感できます。そもそも僕は「成功哲学」というものにあまり興味がないのですが、その理由の一つに「成功という言葉の曖昧さ」があります。何を以って成功と呼ぶのか。それはあまりにも相対的で、人によって違うのだとすれば、それに達するプロセスも違うはずではないのか。そんなわけで、成功哲学を読むときは「あくまでこの人は自分の成功の理由をそう分析しているんだな」、と参考程度に捉えてきました。

さらに僕は、目標を達成するための方法を、人は直感的に知っているのではないかとも思っています。心の底から達成したい目標があるとき、具体的な方法を調べたり、試行錯誤を繰り返しながら目標に少しずつ近づいて行こうとします。そこに多少の効率の善し悪しはあるかも知れませんが、その努力を支えるだけのモチベーションがあるかどうか、そちらの方が重要なのだと思います。

先ほどから「目標」という言葉が出てきていますが、本書ではさらにもう一歩進んだ「マイ・ゴール」というものを扱います。定義は、「個人が、これだけは絶対に達成(手に入れたい)したいと思えるもので、またその目標が自分の才能や能力に合っているもの」とされています。ただの夢ではなく、「やりたいこと」「できること」「むいていること」を一致させた、実現可能な目標とも言えます。

ただの夢ではなく、ここで言う「マイ・ゴール」を見つけるためにはどうすれがいいのか。それは、自己認識を深めることです。つまり、自分が「やりたいこと」「できること」「むいていること」をきちんと認識できているかがカギになります。本書では自己認識を深める方法として、生活史の作成を勧めています。生活史とは、今まで自分が生きてきた過去を振り返った物語のようなものです。

過去を振り返るのに消極的なイメージを持つ方もいるかも知れません。しかし、それについては以下のように書かれています。

よく「過去を振り返るな!」と耳にする。確かに過去を振り返り、過去に生きることは愚かなことだ。しかし、過去の記憶から「ありのままの自分、本当の自分」を認識し、そこから教訓や情熱を見出し、眠っていた夢を復活させていくプロセスの中でマイ・ゴールをつかみ、“これから”を生きることはとても積極的な行為なのだ。

今の自分を作っているのは過去の選択です。そしてその過去の膨大な記憶が、今の僕たちに大きく影響していることは間違いありません。しかし過去の記憶はとても曖昧なもので、時とともに事実とはズレてくることがよくあります。そんな誤った自己像から、本当に素晴らしいと思える目標を設定できるでしょうか?そう、過去にとらわれる為ではなく、自分が本当に望む未来のために、今一度過去を棚卸して自己認識を再構築する必要があるのです。

本書の中には、生活史を作るために役立つ質問集なども含まれています。また、後半は物語になっており、理論だけだとわかりにくい、という方はストーリーを通して「マイ・ゴール」とはどういうものかが理解できるようになっています。ここに紹介しきれなかった様々な論点があり、度々「なるほど!」と思わされました。「成功哲学」には興味はあるけどなんか胡散臭い、と思っている方には本当にオススメの一冊です。是非読んでみてください!

自分の秘密 才能を自分で見つける方法

今日は、北端康良 著の「自分の秘密 才能を自分で見つける方法」という本をご紹介したいと思います。著者の肩書きは、才能心理学協会 理事長。そんな学問分野や団体があるのを始めて知りましたが、タイトルに惹かれて購入してみました。

世の中には偉人と呼ばれるすごい人が沢山います。彼らは皆、何かしらの才能に恵まれた人たちのように見えます。本書は、何故彼らはそのような才能を手に入れることができたのか、という問いかけで始まります。

才能が継続によって培われるものだとか、その継続を支えているのは切望感や感情である、というのはよく言われますね。著者は、その切望感や感情を生み出している秘密を明らかにすべく、様々な偉人の人生を検証していきます。このパートが「プロローグ」になっているのですが、分量的には全体の半分近くを占めており、検証にとても力を入れていることが読み取れます。数人の偉人の人生が著者の解釈で語られており、お話として読むにも面白いですよ。

長いプロローグが終わると、いよいよ「才能の秘密」を解き明かす段階に入っていきます。そこには、5つの秘密があると言います。ここでは、特に面白いと思った最初の3つをご紹介したいと思います。

  1. 才能の源泉
  2. 能力の源泉
  3. 才能のベクトル
  4. 時代の声
  5. 才能の闇

まず一つ目の秘密、才能の源泉。ここで語られるのは、「才能の源泉は、人生のルーツにある」ということです。この人生のルーツという言葉、なかなか答えるのが難しい質問ですよね。それに対して著者は、なかなか面白い切り口を提供してくれています。

世の中の人間には、二種類の人間しかいない。
二種類の人間とは、「ある人」と「ない人」です。

人生に「あったもの」もしくは「なかったもの」がその人に大きな影響を与え、才能の源泉になっているということのようです。何が「あった」のか、または「なかった」のかは人によって違いますが、それらの個人的な体験を通して感じた感情が、人を突き動かす原動力になる。またそれは、身近な体験であればあるほど、強烈であればあるほど、大きな原動力になります。

例えばとても身体が弱かったことが強烈な体験として焼きついている人は、将来自分と同じような境遇の人を助けたい、という志を持つかも知れませんよね。この例では、健康な身体が「なかった」と考えることができます。一方、小さい頃から父親に憧れて育った子供が、父のようになりたいと思ったとします。これは、尊敬すべき父親が「いた(あった)」と考えられます。

「ある」体験や「ない」体験、皆どちらの体験もしているはずですが、その人にとって最もインパクトを与えた体験がどちらかによって才能の源泉は異なる、というのが大きなポイントだと思います。才能の源泉が違えば、以下のような違いが出ると言うのも面白いですね。

「ある人」は維持し、広げる人で、「ない人」は変革し、創り出す人。

続いて二つ目の秘密、「能力の源泉」についてです。第一の秘密で扱った切望感を満たすためにはそれなりの「能力」が必要ですよね。著者は「能力」を「能力の源泉 × 技術」、「能力の源泉」を「無意識的に繰り返している感情・思考・行動のパターン」とそれぞれ定義しています。

これはつまり、能力とは単純な技術のことではなく、感情・思考・行動のパターン(能力の源泉)と技術が結びついたもの、ということを言っているのだと思います。さて、この定義で考えれば、少なくとも「能力の源泉」がない人など存在しません。感情・思考・行動に一切関わらずに生きてきた人などいませんからね。

では、感情・思考・行動のパターンとは何でしょうか?それは、普段から何気なく行っている感情→思考→行動という一連の流れの中にある一貫性のことです。ある出来事に対して何かしらの感情を持ち、それを自分の中でどのように考え、その結果どのような行動を起こしてきたでしょうか。そのようなパターンが度々繰り返されてこなかったでしょうか。そういったパターンは繰り返されることでどんどん強化され、自分だけの強みになっていきます。

著者はこのパターンと具体的な技術が結びついたもの、それがその人特有の能力だと言っているのだと思います。能力の定義の中に感情や思考の要素が入ってくる、というのはなかなか面白いですね。コンピテンシー(優れた業績を達成している人の基本的な特徴)理論でも、単純な技術は比較的習得が容易とされていますが、要は技術だけで優位性を保つのは難しい、ということなのでしょう。

三つ目は才能のベクトル。これは言い換えればビジョンのことです。そのヒントは、

「誰を幸せにしたいのか?」
「その人のために、どんな理想の未来を描き、目指すのか?」

という問いに答えが隠されていると語られています。そして、「才能のベクトル」の章の最後には以下のように書かれています。

あなたは、誰を幸せにしたいでしょうか?
かつての自分のような人でしょうか。両親や兄弟姉妹でしょうか。友人でしょうか。
その人を、どんな世界に連れて行きたいでしょうか?
「これが満たされれば、みんな幸せになれた」と、あなたが思っていた世界。
その場所は、かつてあなたが「愛する人を必ず連れて行く」と胸に誓った約束の地。
ビジョンとは、「約束の地」のことなのです。

僕はこのフレーズがとても気に入っています。ビジョンとは単なる未来予想図ではなく、想像しただけで心躍るような、感情に訴えかけるような、そんな絵である必要があると、僕も思うからです。

5つの秘密のうち3つをご紹介しましたが、如何だったでしょうか?既にご紹介した3つの秘密についてもっと詳しく知りたい!という方や、残りの2つも気になる、という方は是非本書を手に取ってみてくださいね。才能というテーマについてとても深く考えられている良書だと思います。

※ 本書の最後には、「最後の秘密」として、実はもう一つ秘密があることが書かれています。が、内容は明かされておらず、読者に問いかける形になっています。僕も自分なりに答えを考えて、思いついたら後日改めて書きたいと思います。

「ありのまま」という才能―性格に隠された成功のヒント

今日は、ロブ・ヤン 著の「『ありのまま』という才能―性格に隠された成功のヒント」という本をご紹介します。著者略歴によると、著者は心理学の博士で、成功の心理学の権威として広く知られている人とのことです。原題は「Personality: How to Unleash Your Hidden Strengths」です。う~ん、大人の事情なのかも知れないですが、副題はそのままの方がよかったような。

この本では、人の性格を7つの特性に分けて考えます。以下がその7つなのですが、こうして眺めているだけでも自分はどちら寄りかな、というのがある程度判断できると思います。この本では、それぞれに対してチェックリストがついていて、質問に答えることで自分がどちら寄りなのかを判断することができます。

  1. 好奇心
    結果を出す「現実派」 vs 先を追い求める「ロマンチスト」
  2. ストレス抵抗力
    プレッシャーに弱い「心配性」 vs ものごとに動じない「楽天家」
  3. 社交性
    ひとりが好きな「孤高の人」 vs 大勢が好きな「社交の人」
  4. 自律性
    行動の前に考える「慎重派」 vs 衝動のままに生きる「奔放派」
  5. 共感力
    ズバリ本音の「率直派」 vs 相手に合わせる「気配り派」
  6. 学習意欲
    学ぶことが命「知識派」 vs 行動で学ぶ「実践派」
  7. 上昇志向
    現状に満足の「のんびり屋」 vs 意欲に満ちた「野心家」

以前ご紹介したビッグ・ファイブによく似ていますね。これらは特性なので、どちらかのタイプに必ず当てはまるわけではなく、どちらの傾向がより強いか、ということになります。場合によっては、どちらの要素も持ち合わせている、ということもあります。また、どちらかが良くてどちらが悪い、というものではなく、それぞれ長所と短所があります。

それぞれの診断結果の後には、タイプ毎にアドバイスが書いてあるのですが、これがとても参考になります。個性は個性として受け止め、どういうことに気をつければいいか、という観点でヒントが書いてあるので、受け止めやすいと思います。また、自分とは逆のタイプの説明を読むのも発見があって面白いですよ。

この本には「はじめに」の部分にとても大事なことが書いてあります。

わたしたちは、性格的な嗜好をある程度もって生まれてきます。科学者によると、性格の半分までは両親から受け継いだもの、つまり遺伝子レベルのもののようです。(中略)

けれども、遺伝子はストーリーの一部分にすぎません。遺伝子はあなたの「ルール」の原型、あるいはあなたという「台本」の最初の原稿をつくりますが、そのあとに受ける教育がその原稿に手を加えるのです。(中略)

大人になったわたしたちにとって、性格のもととなる台本がすべて役立つとはかぎりません。ときには、自分の望みを妨げるような行動を、性格が指示するからです。
ならば、台本は書きなおすことができるのでしょうか?
はい、書きなおすことができます。しかも、あなたはすでにそれを日々行っているのですよ。

この「人は変われる」というメッセージは、とても勇気づけられますね。

それと、この本のいいところは、診断では終わらないところです。最終章には「アクションプラン」という章があり、これから何をするか、を考えるステップが用意されています。行動しなければ何も変わらない、ということなのでしょうね。

さて、最後に。これは僕の個人的な意見ですが、この手の性格診断は活用方法がとても重要だと思います。結果を自分なりに消化して、今後の自分の生活・行動に活かしていく分にはいいと思うのですが、場合によっては、真実かどうかもわからない欠点や短所を「認知」し、「強化」してしまう可能性があると思っています。

性格診断は傾向を出すには良いと思いますが、それだけで人間の性格を表せるほど僕たちは単純ではありません。状況や精神状態等で大きく変わるのですから。診断結果は参考程度にし、それを踏まえて自分はどんな人間なのか、と自分なりに考えてみる必要があるのだと思います。

「変わりたい」と思っている方や、自分を知るためのきっかけが欲しい方にオススメの一冊です。機会があったら是非読んでみてくださいね!

ザ・ミッション 人生の目的の見つけ方

今日ご紹介する本は、ドクター・ジョン・F・ディマティーニ 著の「ザ・ミッション 人生の目的の見つけ方」です。この本の著者であるドクター・ジョン・F・ディマティーニは、ベストセラーになった「ザ・シークレット」にも出てきた人みたいです。小学生の頃に学習障害と診断され、一時はホームレス同然の生活をしていたらしいのですが、今では心理学や哲学、天文学など275以上の分野の知識を身につけているとか。275以上ってすごいな。

この本は、以下のように構成されています。

  • 第一部:人生の目的=ミッションを知る
  • 第ニ部:人生のスキルを磨く
  • 第三部:自分の人生を創造する
  • 第四部:リーダーとしての資質に目覚める

第一部で自分の人生の目的(ミッション)は何かを考え、第二部ではその目的(ミッション)を達成するために何に力を注いでいけばいいのかを明らかにします。第三部ではミッションを元に、自分の人生の総合計画を立てていきます。そして最後の第四部にはミッションを突き詰めていく過程でその分野のリーダーとなり、世の中にどうやって影響を与えていくかが書かれています。

この本の大きな流れを追っていくと、この手の自己啓発本では特に珍しくはない話の進み方のように見えますね。質問を通して自己分析を行って自分のミッションを明らかにし、それを元にビジョンを作る。そのビジョンを生きることで世の中に影響を与える(貢献する)という考え方は、以前このブログでご紹介した本でも度々語られている考え方です。

それでも僕がこの本をご紹介しようと思ったのは、個々の論点の中に非常におもしろい考え方が散りばめられているからです。いくつかご紹介したいと思います。

全ての人は、それぞれの「価値観の優先順位」に従って生きています。そしてその順位は、意識的に、もしくは無意識のうちに感じている「欠落」によって決定されています。

著者は、人生の目的を見つけるにあたって自分の価値観の優先順位を知る事がとても重要だと説いているのですが、それを決めているのは「欠落」だと言っています。欠落とは、自分が満ち足りていないと「思っている」部分のことです。つまり、欠落していると思うということは、それについて価値を感じているということなのでしょうね。

人生の目的のヒントは、自分の好きなこと、夢、ワクワクすること、など比較的ポジティブな部分にあるという考え方が多いですが、人によっては強烈な欠乏感という表われ方をすることもあるのではないか、という点でとてもおもしろいと思いました。

続いてはこれ。

「好きなことをしなさい。お金はあとからついてきます」とよく聞きますが、お金を稼ぐ道が1つしかないという意味ではなく、理想の職業を手に入れたときにやっと人生が花開くという意味でもありません。賢明な人は、何をしているかに関係なく、自分がしていることを好きになるのが鍵だとわかっているのです。

好きなことを突き詰める。言うのは簡単ですが、状況によってはリスクを負わなければできない、現実的に考えたらそんなリスクは取れないと考える人もいるでしょう。一方で、今自分がやっていることと好きなことは関係ない、だから今やっていることは無駄だと考えたり、今やりたくないことをやらない言い訳にしてしまうこともあります。

それに対して、著者は「好きなことをしても、していることを好きになっても、どちらでもいい」と言っています。世の中には多様な考え方があります。好きなことを突き詰めるために大きな決断をする生き方も素晴らしいですが、今やっていることを好きになって、それを一生懸命頑張るという生き方も、やはり立派だと思います。

最後はリーダーシップについて。この本を読んでいて、突然「リーダーシップ」という言葉が出てきたので少し違和感を感じました。が、よく読むと著者が言わんとすることがよくわかったような気がします。「リーダー」というのは上司・部下といった立場のことでもなければ、気質や性格のことでもありません。そうではなく、マインドセット、つまり心の在り方のことを言っているのだと思います。

そういう意味では、誰でもリーダーのマインドセットを身につけることができます。そのマインドセットを身につけるための方法についても触れられています。面白かったのは、「1日30分間、特定の分野について学ぶと、7年後にはその分野のリーダー(ここでは第一人者という意味)になれる」というお話。もしそれが本当だとすると、好きなことをコツコツ7年間続けていたら、気が付いたらその分野の第一人者になれるということですよね。ちょっとワクワウしますね。

人には最低一つ、否が応でもリーダーシップを持たなくてはならない分野があると思います。それは自分の人生です。この本にも「人生の主人公」という言葉が出てきますが、自分の人生をできるだけ思ったように動かしていくために、リーダーのマインドセットを身につけておくといいかも知れませんね。

本書には、ここでご紹介した以外にも沢山の論点が詰まっています。基本はベーシックな内容なので、あまりこういった本を読まない方にもお奨めですし、色々読まれている方にも様々な観点を提供してくれる本だと思います。機会があったら是非読んでみてください。

パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる

今日ご紹介する本は、ダニエル・ネトル 著の「パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる」です。人間の性格を研究する学問である、パーソナリティ心理学の書籍です。

皆さんは性格診断テストをやったことがありますか?質問に答えていくと、最後に「あなたは~タイプです」というように性格を診断してくれます。世の中にはお遊び程度のものから、企業の採用試験に使われるものまで、性格診断が沢山ありますね。それだけ、皆が自分の性格を客観的に知りたがっている、と考えることもできます。

この本で扱うのは、特性5因子論と呼ばれる理論で、人の性格を5つの特徴で表すというものです。ビッグファイブとも呼ばれています。心理学関連の書籍を読むと、現在のところ性格を表現するための仮説としては主流である、と書かれていたりします。

さて、余談ですが人の性格を表すときの考え方に、類型論、特性論というものがあります。類型論は、あらかじめ性格をいくつかのタイプに分類し、それに当てはめていくという考え方。科学的根拠がないと言われてはいますが血液型による性格分類なんかは、わかりやすい類型論ですね。類型論はわかりやすい半面、大雑把すぎるという限界があります。人間の性格を少数のタイプに分けることなどできない!というわけです。

一方特性論では、人間の性格を特徴づける要素を「特性」としてあらかじめ定義しておき、人がそれらをどの程度持っているか(もしくは持っていないか)、と考えます。個々の特性の程度やその組み合わせは無限にあるので、人の性格を詳細に表現できる半面、全体像が見えにくい、などと言われているようです。

ビッグファイブは特性論の一つで、その名の通り5つの特性を定義しています。文献によって名前が微妙に違っていたりしますが、この本に書かれている内容をご紹介します。

  1. 外向性
    外向性がある、というと社交的なイメージを持つかも知れませんが、ここで言う外向性は少し違います。外向性のスコアが高い人は、低い人に比べて日常生活の中で、喜び、欲望、熱中、興奮といった「ポジティブな情動」を示すことが多いのだそうです。ポジティブな情動が多いため、それを獲得するような行動に出やすい、ということですね。
  2. 神経質傾向
    これは名前のイメージが少々悪いですが、外向性と逆の考え方です。つまり、ネガティブな情動をどれだけ持ちやすいかを表しています。不安や恐怖はそれをあらかじめ察知して避けるためにあると言われますが、神経質傾向のスコアが高い人は低い人に比べてその警報装置のアラームの感度が強い、と考えられます。
  3. 誠実性
    これも名前のイメージとは少し異なるのですが、どれだけ衝動を抑制することができるか、を表しています。誠実性のスコアが高い人は、自分をコントロールすることに長けている人であり、低い人は衝動的で、気の向くまま、意志が弱い、などと言えそうです。
  4. 調和性
    どれだけ他者の心の状態に注意を払い、それによって自分の行動を決定するかを表します。つまり、どれだけ人に共感できるかということですね。このスコアとEQ(共感指数)は強く関連しているようです。
  5. 開放性
    最後の一つ、開放性についてははまだわかっていないことも多く、少しわかりにくいです。「経験への開放性」とも呼ばれ、あらゆる種類の文化的、芸術的活動にどれほど関わっているかを表すようです。また、連想の広がりの度合いを示したりもするようです。確かに、天才的な芸術家は普通の人にない発想力を持っていそうですよね。

ひとつ重要な点を補足したいと思います。これらの特性は、スコアが高い=良いというわけではないということです。スコアが高いなりのデメリットのようなものもあるので、単純に良い・悪いではなく個性と考えた方がよいと思います。

ところで、なぜこの5つなのでしょう?ビッグファイブの歴史は、辞書に書いてある「人の性格を表す言葉」を全て調べ、分類していくという地道な作業から始まったようです。それらをベースに、統計的な分析、研究の蓄積を経て整理・統合され最終的に5つの特性に落ち着いた、ということのようです。

面白いのは、この5つの特性に関連している脳の領域や神経分泌物質などが見つかり始めているという点です。そう遠くない将来、ある程度正確に、機械的に人の性格を測れる時代がやってくるかも知れませんね。

この本によると、人の性格を決めるのは約半分が遺伝、あとの半分が人生初期に受けた様々な影響であるとされています。そして、僕たちはそれをくつがえすことはできないようです。では、人が自分の嫌なところを変えたいと思い、また成長しようと努力するのは無駄なあがきなのでしょうか?この本にはそれに対する一つの回答が書いてあります。

個々の人間のもつ特異性は、3つのレベルから考えることができます。一つはこのビッグファイブの特性のスコア。二つめは特徴的行動パターン。そして三つめがパーソナル・ライフストーリー。一つめの特性に関しては、前述の通り後から変えることはできません。では、あとの二つは何でしょうか。

特徴的行動パターンとは、例えば「外向的である」という特性を持っていたとしても、その表れ方は個人によって違う、ということです。そして、その外向性をどのように表現するかは、ある程度選択することができます。そしてパーソナル・ライフストーリー。これはつまり自分をどう見るか、ということです。アイデンティティと言ってもいいですが、これについては僕たちは様々な方法で見直したり、作り直したりすることができます。

特性は変えられないとしても、その特性をどのように活かし、そして自分をどう定義するかは自分次第だということです。僕はこの考え方がとても気に入りました。人間の性格という身近なようでよくわかっていないものをわかりやすく解説してくれるこの本、それほど難しくないので興味のある方は是非読んでみてください!

あなたの人生には使命がある

今日は、アルフォンソ・リナーレス・フェルナンデス 著の「あなたの人生には使命がある」という本をご紹介したいと思います。あとがきによると、著者は南米ベネズエラに住むネット事業家で、プロの書き手ではないそうです。しかし、その主張はシンプルでとてもわかりやすく、とてもいい本に出会えたと思っています。

本書の最大の主張はタイトルに言い尽くされています。著者は、妹さんの死をきっかけに今までの人生を振り返り、自己探求の果てに「誰の人生にも使命がある」という考えてに至ったそうです。使命と聞くと漠然としていますが、「生きる目的」や「存在意義」と置き換えてもいいですね。

ではそれは一体どのようなものなのでしょうか。様々な考察を経て著者が出した結論はこうです。

人生に託された「使命」とは、「情熱」に駆られ、みずからの「才能」を生かし、世の中に最大限の「善」を施すこと。

著者の思考の過程は本書に詳しく解説されているので読んで頂ければいいのですが、この定義には本当に共感します。「情熱」+「才能」+「善」が使命だと言っているのですが、つまりはこういうことだと思います。

  1. 自分が情熱を持てることをやりなさい
  2. 自らが持つ才能を生かしなさい
  3. 世の中に対して貢献しなさい

どれか一つを満たすものが使命なのではなく、上記三つを全て満たすものが使命、つまり僕たちがやるべきことだということです。三つ全てを同時に考えるのはなかなか難しいので、それぞれ別々に考えていくといいと思います。

まずは自分がやりたいことについて。仕事を選ぶとき、「自分が何をやりたいのかわからない」という話を聞くことがあります。でもよくよく聞いていると、現実的な選択肢の中に自分のやりたいことがない、ってだけだったりします。この「現実的な選択肢」ってのが曲者で、制約を一旦無くすと、目を輝かせて好きなことを語り出したりするんですよね。

自分がやりたいこと、そのものずばりの仕事に就くのは難しいかも知れません。リスクを取って一歩踏み出す人もいますが、そんなリスクは取れない、という人も是非「自分はなぜそれがやりたいのか」を深く追求してみて欲しいと思います。

やりたいことの本質に気がつくと、その実現方法が一つではないことに気が付きます。つまり、自分がすぐ思いつく「仕事のリスト」から選ぶのではなく、自分がやりたいことに少しでも関わっていそうなことを探したり、作り出したりするという選択肢もあるということを覚えておくといいかも知れません。

次に才能について。僕たちは遺伝や育った環境の影響を受ける以上、個性ってやっぱりありますよね。その意味で不得意なことよりも得意なことをやった方がいい、というのはその通りだと思います。でも、才能を個性と考えれば、才能がない人なんていません。自分の才能をしっかり認識し、制限する方向ではなく、活かす方向で考えたいですね。

「何も特筆すべきスキルがない」という意味で「自分には何の才能もない」と言う人がいますが、それは自分の特性を把握していないか、それを活かす方法がまだ見つかっていないだけだと思いますよ。自分の武器は何なのか、棚卸して見ましょう!

そして最後に貢献です。貢献と言っても、ボランティアをやれということではありません。情熱と才能を使って誰の為に何をするのか?ということです。貢献というとちょっとハードルが高いですが、基本的には仕事をしていれば(ビジネスだけに限らず、家事だって育児だってそうです)誰かに何らかの形で役に立っていますよね。

ただ、ここで言いたいのは、自分の情熱と才能を最大限に活用し、「誰に」「何を」貢献するのかを意識すれば、さらに多くの貢献ができるのではないか、ということだと思います。人の欲求は突き詰めていくと貢献欲求になるとも言われています。確かに、誰かの役に立ったと思った時はとても気分がいいですよね。

才能を活かしてやりたいことをやり、その結果誰かの役に立つ。それを使命と呼ぶなら、僕は是非自分の使命を見つけて全うしたいと思います。僕の個人的な意見も沢山書いてしまいましたが、とてもよい本なのでオススメです!

ネイティブアメリカンの言葉(解釈編)

以前に「ネイティブアメリカンの言葉」という記事を書きました。Webで見つけた文章なのですが、今日はその文章を僕なりにどう解釈したかを書きたいと思います。

全ての人間は、生きる目的と進むべき方向を持っている。それは、私たちがこの世に生を受ける時、私たちの心に刻まれるものだ。

生まれる時から運命は決まっている、と取れなくもないですが、そのような運命論は「生まれた時から全て決まっているのなら努力しても無駄」という考えを生みやすいのであまり好きではありません。そうではなく、進みやすい方向というのが予め決まっている(才能、適正など)と解釈しました。僕たちは少なからず遺伝の影響を受けている以上、これは真実だと思います。

そして「生きる目的」についてですが、元々あるものなのか、それとも自分で創り出すのかはあまり重要ではないと考えています。僕個人はどちらかと言えば全人類に普遍的な目的などない(強いて言えば生存して遺伝子を残すという動物的な目的でしょうか)と思っています。でも本当に大事なのは、今自分が何のために生きているのかを自分なりに認識できているかどうかだと思います。

さらに、私たちはその目的や方向を見つけるための誘導装置へアクセスすることができる。私たちはその誘導装置を理解する必要がある。それは直観、内なる声、衝動、洞察力または感覚などとも呼ばれている。

生きる目的や方向などというタイソウなものは、そうそう見つかるものではないと思います。僕もまだまだボンヤリしています。日々色々なことに追われていると、そんな事を考える暇もなく毎日が過ぎていってしまいますよね。でも、自分と向き合って、この先どうなりたいのか、何をしたいのかをじっくり考えることも大事だと思います。その時に耳を傾ける、自分の内なる声のようなものを直観(ここで言う誘導装置)と呼ぶのではないかと思います。

ひとたび目的と方向を突きとめたなら、私たちは個性的なスキル、才能や能力を与えられる。そのために、毎日神と共に祈り、瞑想しなければならない。

僕は無宗教なので神様がいるのかどうかはよくわかりませんが、自分の進むべき方向性や生きる目的がもしはっきりとわかったなら、それはものすごい力を発揮できると思います。祈り、瞑想は前述の通り自己の対話、という風に解釈しています。

そして、僕が最も気に入っているフレーズが下記です。

強く、自信を持って生きるために、常に以下の3つの質問に答えられなくてはならない。

  • 何故私は存在しているのか?
  • 私は誰なのか?
  • 私は何処に向かっているのか?

もしこの3つの質問に答えられるなら、あなたは大丈夫だ!

まず一つ目。なぜ私は存在しているのか?これは自分の存在意義や生きる目的を問う質問です。使命やミッションと言ってもいいかも知れませんね。そして二つ目。私は誰なのか?これは自分が自分である所以、つまりアイデンティティのことです。最後。私は何処に向かっているのか?自分や自分の環境がこの先どうなっていくかの未来像、つまりビジョンのことだと思います。

纏めてみると、

  • 自分の存在意義(使命・ミッション)
  • アイデンティティ
  • ビジョン

がきちんとわかっていればあなたは大丈夫だよ!ということなのだと思います。ではどれも難問であるこれらの質問にどう答えればいいのでしょうか。

まず、アイデンティティを確立するということは、自分のことを語るストーリーを持っているということです。そのためには自分のことを良くわかっている必要がありますよね。アイデンティティが崩壊した状態で、存在意義や将来のビジョンなんて考えられません。というわけで、最初に固めるべきはアイデンティティな気がします。

次は存在意義かビジョンか。グロービス・マネジメント・スクールMBA用語集によれば、ビジョンとは『経営理念で規定された経営姿勢や存在意義に基づき、ある時点までに「こうなっていたい」と考える到達点』とあります。この定義ではビジネスに限っていますが、一般化して考えることもできます。もしビジョンが存在意義に基づくのだとしたら、存在意義を認識していない状態でビジョンを描くことはできません。

というわけで、僕はアイデンティティ→存在意義→ビジョン、という順に考えていけばいいと思っています。そうは言っても、それぞれ一朝一夕で答えが出るような問題ではありませんが、まずは「私は誰なのか?」に答えられるよう、自己分析や自己との対話から始めてみては如何でしょうか。

「アイデンティティ」「存在意義」「ビジョン」については、僕自身とても関心が深い分野なので、今後も関連したトピックをどんどん記事にしたいと思っています!

ソース・セルフ・スタディ・キット

以前のエントリで、「ソース―あなたの人生の源はワクワクすることにある。」という本を紹介しました。その時にも少し書きましたが、書籍の内容をさらに深めて教材にしたセルフ・スタディ・キットというものが存在します。僕はそちらの方もやってみましたので、今日はその感想を書いてみたいと思います。

セルフ・スタディ・キットは、CDによるガイダンスを聞きながらワークブックに書き込んでいくという形式で進んでいきます。ワークブックのページ数は(解説込みですが)250ページ程度、CDは本編が7枚。結構な分量があります。僕は結構頑張ってやって一週間程度かかりました。

一枚目のCDをセットしていざ始めようとすると、何やらスピーカーから眠くなりそうな声が聞こえてきます。ナビゲーションCDに入っている声は出版元であるVOICE出版の社長、喜多見龍一さんの声。何でも、オリジナル「ソース」の開発者であるマイク・マクマナスという人は既に亡くなっていて、その遺志を継いで日本バージョンを作ったのがこの人みたいです。

前置きはさておき、内容です。第1部は心構えなどの説明なのでサクサク進みます。心構えの中で強調されていたのは、とにかく自分のペースで構わないので楽しく続けること。つらくて気が進まなくなったらしばらく休むなりして、新しい気持ちでまた始めてくださいとのことでした。気が楽になった半面、そんなに大変なんだ…と覚悟を決めた瞬間でもありました。

ひとたび第2部に入ると、怒涛のようにワークが続きます。用意された質問に対して、自分の過去から未来まで思いを巡らせて、とにかく書いていきます。今まで深く考えたことがないようなことも平気で聞いてくるので、変な疲れ方をします。でも、裏を返せばそれだけ漫然と過ごしてきたということなので、いい刺激になります。

この質問攻めが終わると、そこからは書いたものをまとめていく作業。あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、この部分がこのプログラムの真骨頂だと思います。自分の中にある様々な要素をできるだけ沢山集めて、その中から大事なものを抽出し、精錬していくイメージでしょうか。最後に残るのは、自分が本当に価値を感じているものです。自分のことはよくわかっているつもりでしたが、改めて見せられることで多くの発見があります。それがまた、楽しくもあります。

自分が大事にしているものがわかったら、それを行動に繋げていくための行動計画を作ります。いくら価値観を明確にして、いい気分になったところで、行動が変わらなければ何も変わりませんよね。好きなことをどう生活に取り入れていくかを考えるのは、楽しいものです。ここで作った計画は、小さな一歩でも構わないので実行に移す覚悟を決めましょう。

第3部は、作った行動計画をどうやって実行に移していくかという解説で、読み物中心です。そして最後の第4部は、人間関係や仕事でどう活かすか、最後に纏めという構成です。

僕はこの教材をやってよかったと思います。自己啓発本は一時的な高揚感を提供してくれるが長続きしない、という指摘がありますが、僕はこれをやって以来色々なことを始めたり、挑戦するようになりました。このブログもその一つです。もちろんこの教材のおかげで人生がバラ色になった、なんてことはありませんが、自分を知り、自分についてよく考えるきっかけになったことは間違いありません。

ただ、これを人に奨めようとすると二つのハードルがあるんですよね。一つは、自己啓発というジャンルは人を選ぶということ。僕は特に抵抗ないですが、嫌いは人は嫌いですよね。そしてもう一つは結構大変なので気軽にお奨めできないということ。もしこの二つがクリアできるという方は、是非やってみてくださいね!

My Credo(マイクレド)

今日は、浜口隆則・村尾隆介 著の「My Credo(マイクレド)」をご紹介したいと思います。

僕は恥ずかしながらクレドという言葉を知らなかったのですが、調べてみたところラテン語で「信条」を意味する言葉だそうです。マイクレド、つまり自分の信条をしっかり持ちましょう、というのが本書のメインテーマです。

この本には、

  • 何故信条を持つべきなのか
  • 信条を持つとどんな良いことがあるのか
  • 信条を作るための具体的な方法

がしっかりと述べられており、とてもわかりやすいです。特に、何故信条を持つべきなのか(僕たちの生きている環境・時代背景の考察)については、本当にその通りだと思います。自由であるが故に様々な不安に溢れている今の社会で、自分の軸をしっかり持つためのヒントが沢山詰まっています。

本書の中で特に印象に残っているのは「自分らしさ」についての考察です。この言葉、よく耳にしますがなかなか曲者ですよね。というのも、甘えを正当化する言い訳になり得るからです。「自分には合わない」と言えば一見価値観の問題かのようにも思えますが、実際には「嫌だ!やりたくない!」と言っているだけだったりします。本の中に「自分らしさという保健室」という表現がありました。なるほど、おもしろいですね。

それともう一点、本の中で紹介されている「自利利他」という考え方が気に入ったので引用してみます。

自利利他の精神というと、 「人のために何か良いことをしていると、それがめぐりめぐって自分の良いことになって還ってくる。だから、人のために役に立つことをしましょう」という意味だと勘違いしている人がいますが、ちょっと違います。

自利利他とは、本当は「自らの悟りのために修行し努力することと、ほかの人の救済のために尽くすこと。この二つを共に完全に行うことを大乗の理想とする」という意味です。

つまり、「自分を高めること」と「人のお役に立つ」ということは、「同時にやらないといけませんよ」ということです。

どうしても利己主義 vs 利他主義という二項対立で考えがちですが、実はどちらも大事、というお話。これは直感的にしっくりきます。自分のことばかり考えている人間にはなりたくありませんが、かと言って常に自分を犠牲にして他人のことばかり、というのも嫌です。この二つを高い次元で両立するのは簡単ではないですが、例えば自分がやりたいことを突き詰めることによって世の中に貢献し、報酬を得るという生き方は、まさに僕の目指すところです。

本書の後半にはワークがあり、最後にまとめ的にマイクレドを作る、という流れになっています。全体を通してテンポよく進むので読みやすく、ブレない自分の軸を見つけたい方に是非読んでいただきたいオススメの一冊です。