先週の木曜日(2/13)、目黒雅叙園で行われた「Developers Summit 2014」に参加してきました。Developers Summitというのは、ソフトウェア開発者を中心に、相互に知識やスキルを伝達し合うコミュニティーイベント、とのことです。2003年に始まって以来、もう10年以上経ってるのですね、素晴らしい。
僕も一応Developerのはしくれではあるんですが、今回は技術系のセッションではなく、井庭崇先生の「プレゼンテーション・パターン・ワークショップ」というセッションに参加するのが目的でした。このワークショップは、井庭さんが作成された「プレゼンテーション・パターン」というものを使って参加者同士で対話を行い、お互いの経験を共有する、というものです。僕はこういったワークショップの存在は知っていたのですが、是非自分でも体験してみたいと思い、今回参加することにしました。
プレゼンテーション・パターンというのは、創造的なプレゼンテーションをするためのコツやポイントを「パターン・ランゲージ」という形でまとめたものです。ここでパターン・ランゲージそのものの説明をしだすと長くなりそうなので別の機会に譲りますが、簡単に言えばどうすればただ伝えるだけではなく、聴いた人が創造的になれるようなプレゼンテーションをすることができるのか、というコツ(パターン)が34個書かれたものです。書籍も出てます!
このワークショップは、次のような流れで行われます。
- プレゼンテーション・パターンの中から、自分が経験したことがあるものをチェック。具体的な体験談を思い浮かべる。
- 次に、自分が経験したことがないパターンの中から、取り入れてみたい!と思うものを選ぶ。
- ワークショップが始まったらひたすら知らない人に話しかけて、自分がこれから取り入れたいパターンを既に体験している人から体験談を聞く。
- 逆に、相手が取り入れたいと思っているパターンを自分が体験していたら、その話を相手にしてあげる。
- これを繰り返す。
非常にシンプルなんですが、とてもよくできた仕組みだと思いました。何の媒体もなしにただ「お互いの体験を話し合ってください!」だとなかなか漠然として話しづらいですし、どうしても自分の体験なんて大したことないと思いがちです。そこに「パターン」という媒体があることで、見知らぬ人とでも共通の話題があるし、何より相手が自分の体験を聞きたがってくれるので、とても話しやすい雰囲気になります。
パターンを介して自分の経験を掘り起こし、語り合うことができるのは、パターン・ランゲージが「認知のメガネ」「コミュニケーションの語彙」として働くからなのですが、実際にやってみて難しかったのは「認知のメガネ」の方、つまり自分の経験を掘り起こす作業です。
人はモノを認識する際に概念というフィルタを通して見ているため、特に形のないモノ、例えば経験などを何の力も借りずに認識するのはなかなか難しいですね。でも、そこにパターンという形で概念と言葉を与えてあげることで、認識しやすくする、というのが「認知のメガネ」ということなのですが、認知のメガネをかけたらすぐに体験が掘り起こせるようになるか、というとなかなかそういうわけにもいかなそうです。そのメガネを通してモノを見る訓練をある程度する必要がありそうですね。普段このワークショップをやる際は、参加者が事前にパターンを読んできて、その上で語り合うという形をとることが多いそうなのですが、なるほど納得でした。
一方で、言葉を与える、つまりコミュニケーションの語彙としての機能は、即効性がありました。漠然としたものをお互いに話し合うとなかなか地に足のついた議論にならないことが多いのですが、コツのようなものが言葉として定義してあることで、格段に話しやすくなることを実感することができました。
今回のワークショップはそれほど時間もなかったので、数人の方とお話させていただいているうちにすぐ終わってしまったのですが、かなり楽しかったです!井庭先生いわく、大人数でやっても、少人数でじっくりやっても盛り上がるということなので、早速自社でも取り入れてみようと思いました。
講演に使われた井庭先生のスライドがslideshareで公開されていたので、リンクしておきます。興味のある方は、見てみてくださいね!
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