自己肯定感って、なんやろう?

今日ご紹介するのは、臨床心理学者である高垣忠一郎と、版画家の山田喜代春によるコラボレーションから生まれた絵本、「自己肯定感って、なんやろう?」です。

この本は、自己肯定感という分かっているようで分かりづらい概念を、絵本という形で表現しています。臨床心理学者の高垣さんが不登校の子どもの親御さんに向けて話した講演録に、絵をつけたようですね。講演録ということもあってか、終始関西弁で語りかけるような口調で、なんだかほのぼのします。版画も味があり、全体的に優しい感じがする、いい絵本だと思います。

絵本なのでボリュームも50ページと少ないです。が、読んでみると結構内容は深いです。

自己肯定感というと、自分の中に肯定できる部分を見つけること。そう考えてしまいがちですよね。でも、探しても探しても見つからない人はどうなるのでしょう。そもそも、肯定できるかどうかという基準はとても相対的なものです。その基準が比較的緩やかな人は、自分の中に肯定できる部分を沢山見つけられるかも知れません。

でも、その基準が厳しい人は、肯定できる部分を見つけられずに苦しんでしまうのではないでしょうか。こう考えると、「自己肯定感」という概念を間違って使うと、人によっては余計苦しくなってしまうのだと言えます。

著者の言う自己肯定感はこうです。人にはそれぞれ欠点や弱点、ダメなところはあります。もちろん、無いにこしたことはないですし、それそのものを肯定することはできません。でも、欠点があってもいいんです。欠点を抱えながらも一生懸命生きる、その健気さに免じて自分を「こんな自分でもいい」と赦してあげる。この感覚が自己肯定感と言うのだそうです。

自分のいい所に目を向けましょう!という感覚と、この自己肯定感のニュアンスの違い、なんとなくわかりますよね。

自分にダメな所があることを認めつつも一生懸命生きるためには、そのダメな所を認識し、その上で受け入れる必要があります。それは、ダメな部分がある自分を、「それでもいいんだ」と受け入れてあげるということです。

自分のことを好きになれない人、いると思います。本書の中では、そうなってしまう原因の一つとして広告を挙げています。これは僕も非常に強く共感する部分なのですが、世の中のメディアを見ていると、コンプレックスを刺激するようなメッセージが飛び交っていますね。例えばダイエット広告。見ている人からすれば、「ダメな所」を指摘され、「もっとこうした方がいいですよ」と日々言われ続けていることになります。

また、最近は情報がすぐ手に入るため、どうしても人と比べがちですよね。他人はみんなこうなのに、自分は…。そんな状況では、不安なので無理やり自分の「いいところ」を見つけようとします。前述の通り、それでも見つからない人はさらに苦しむことになりますし、なんとか見つけたとしても、「~だから自分は大丈夫」というように、自分を認めるために条件が必要になってきてしまうんですね。

自己肯定感とは、自分の長所を無理やり見つけることではなく、ダメな部分も含めた自分を「それでもいいんだ」と認め、受け入れること。諦めや開き直りとも違うものだと思います。僕も、「自分はダメだ」と思うことがよくあります。おそらく、自分の理想が高すぎて、それについていけない現実の自分が嫌なのだと思います。そんな自分にイライラせず、きちんと受け入れられるようになりたいと思います。

自己肯定感の意味がよくわかる本書、とてもおすすめです。30分くらいですぐに読めるので、是非読んでみてください。読み終わると、なんだかほっこりしていると思いますよ!

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