やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん

今日ご紹介する本は、小倉広 著の「やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん」です。僕は特に目的がなくても定期的に本屋さんに足を運んで何か面白い本はないか、と情報収集するのですが、この本もそうやって出会った本です。

本書は、物事を「やりきる」ためにはどうすればいいか、について書かれています。何かを始めたはいいけど、続かなくて途中でやめてしまう。そんな経験、僕も沢山あります。この本のいいところは、「やりきる」ための具体的な技術だけでなく、「やりきる」ことが大切な理由や、何故「やりきる」ことが難しいのか、という考察が優れている所だと思います。

少しご紹介しましょう。まず、「やりきる」ことが何故大切なのか?すぐ思いつくのは、「継続は力なり」という言葉ですね。コツコツと続けていくうちに大きな力になる、ということです。しかし、この本では違った観点からその理由を説いています。まず、「やりきる」ことができないと、「腐ってしまう」という観点です。

できないのであれば、約束をしない方がいい。続かないなら、約束を反故にして、やめてしまった方がはるかにいい。決めたことを守れない風土ができあがってしまうくらいならば、最初から約束をしない方がはるかにマシなのだ。
そして、これは個人にも当てはまる。個人に「負け癖」がついてしまうのだ。「やりきる」ことができない弱い自分に慣れていってしまう。それが一番恐ろしいのだ。

僕もこれは心当たりがあります。何かを始めたにも関わらず、途中で投げ出してしまうことが続くと、少なからず自己嫌悪に陥りますよね。自尊心を守るために言い訳を用意して「しょうがなかった」と自分に言い聞かせてはみるのですが、こうした体験は少しずつ自己評価を蝕んでいくように思います。

そして次は、「やりきる」ことで得られるものという観点。著者は、「やると決めたこと」=約束と捉えて、他人との約束を守ると「信頼」が、そして自分との約束を守ると「自信」が手に入ると言います。「やりきる」ことで継続による大きな力だけでなく、信頼や自信まで勝ち取ることができる、だから「やりきる」ことは重要なのだ、ということです。なるほど。これは非常に共感することができました。

気がつけば、ブログを書き始めて1ヶ月が経ちました。原則毎日更新を目指してきましたが、忙しくて書けない日もありました。でも、何かを始めては三日坊主だった僕にとっては、とりあえず続いているというのはちょっとした奇跡です。

他にも、読書、家計簿、ダイエット、ジム、早起き、等を去年から始めました。それらは、完璧にはほど遠いですが、今も何とか続いています。まだ何一つやりきってはいませんが、とにかく続いている、ということはとても自信になります。著者が言う、自分との約束を守ると「自信」が手に入る、というのは僕の実体験から見ても正しいと思います。

まず小さなことから何か行動してみて、それを達成する。それを繰り返すことで自分に対する評価を改善していくという手法は、カウンセリングでも使われる方法です。小さくても、何か一つ成功体験を得ると、「何だできるじゃん、じゃあ他のこともできるかもしれない」、という気持ちになってきます。

僕がやっていることは、常日頃からしっかりやっている人から見れば当たり前のことです。しかし、それが今まで全くといっていいほどできていなかった僕にとっては、生活改善から得られる実利と、それらを通じた自己評価の改善という一粒で二度おいしい状況になっています。

さて、では何故「やりきる」ことってこんなに難しいのでしょう。著者は、「やりきる」ためのステップは3つあるのだと言います。そのステップとは、「始める」「続ける」「やり直す」です。そしてその3つのステップそれぞれに、落とし穴があります。

著者がこの中でも特に重要だと説くのが、「やり直す」技術。完璧にできないのならやめてしまえ、いわゆるオール・オア・ナッシング的な考え方ではなく、そもそも完璧になんてできないのだから、例え続かなかったとしても何度でもやり直せばいい。まさに、某漫画の「あきらめたらそこで試合終了」ですね。

僕は元々オール・オア・ナッシング的な思考が強かったので、何かを一日サボったら「もうだめだ」となり、そこでやめてしまっていました。でも、一日サボっても、また次の日からやり直せばいいんですよね。そして、やり直すのをやめない限り、失敗したことにはならない。そう考えると、何かを続けるというのは、もっと気楽にやればいいということなのかも知れません。

最後に。これは僕個人の考えですが、上記で引用した言葉、「できないのなら、約束をしない方がいい」というのは、極論かも知れませんが、非常に重要だと思います。気楽にやればいいとは言え、何かを成し遂げるにはそれなりの覚悟が必要です。でも、何かを「とりあえず試し」で始める度に、そんな覚悟はしていられません。そんな時は、「これはお試し」と割り切って、やめる時はスパっとやめてしまうことも重要だと思います。無駄に自信をすり減らす必要もないですからね。

本書には、「始める」「続ける」「やり直す」というそれぞれのステップに役立つ考え方や手法が沢山紹介されています。心理学的な考え方や、精神論、時間管理に至るまで、役に立つポイントが必ずあるはずです。物事を続けられず、知らず知らずのうちに自信をなくしてしまっている方に是非おすすめしたい一冊です。この本に書いてある方法を自分なりにアレンジして、独自の「やりきる技術」を体得できるといいですね!

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