今日は、ピーター・セージ 著の「自分を超える法」という本をご紹介したいと思います。このピーター・セージは、世界的に有名なコーチ、アンソニー・ロビンズの公式トレーナーに史上最年少で認められた人です。本書の中でも彼のキャリアが語られていますが、22社の会社を経営し、現在は太陽エネルギー関連の一兆円規模のビジネスに取り組んでいるみたいです。
さて、そんなすごいキャリアを持つ彼の本。肝心の内容は、いわゆる成功哲学の部類に入ると思います。「真の成功」を手に入れるために必要なことは何か、を5つの法則という形で書き記してあります。
- 「成功の心理学」
成功の80%は心理で決まる - 「お金のつくり方」
資金ゼロでもビジネスはできる - 「リーダーシップ」
人間関係の達人になる方法 - 「世界観をつくる」
人生に力を与える考え方 - 「文章の力」
言葉ひとつで劇的な成果を上げる
僕は「成功」を目的として掲げた本というのはあまり読まないのですが、著者の言う「真の成功」の定義に共感するところがあったので読んでみました。
お金がたくさんあっても、大豪邸に住んでいても、忙しく仕事をするだけで、恋人や友人、家族と会話をする時問がないのでは、成功とはいえません。経済的豊かさを味わい尽くすライフスタイルを手に入れ、「人生が充足していると感じる心が伴ってこそ、真の成功といえる」はずです。
個人的には、必ずしも経済的豊かさがここで言う「真の成功」の絶対条件だとは思いませんが、人生が充実していると感じる心を持つことが重要、という考え方にはとても共感します。
それでは5つの法則のうち、僕が特に参考になった「成功の心理学」について少しご紹介したいと思います。
成功の心理学って何?と思うかも知れませんが、内容は人間の行動の裏にある欲求についての記述がメインです。人間の欲求と言うとアブラハム・マズローの欲求段階説が有名ですが、著者はそれとは異なる「シックス・ヒューマン・ニーズ」という考え方を示しています。人間には6つの欲求がある、というもので、内容は下記の通りです。
- 安定感・・・安定したいというニーズ
- 不安定感・・・変化が欲しいというニーズ
- 重要感・・・価値ある存在でありたい、自分は特別でありたいというニーズ
- 愛とつながり・・・愛されたい、誰かとつながりを持ちたいというニーズ
- 成長・・・成長したいというニーズ
- 貢献・・・何かに貢献したいというニーズ
安定感というニーズは、人間の基本的な欲求であるとしながらも、現代社会においては、この安定感というニーズが過剰に求められすぎている、と著者は言います。そもそも、絶対の安定が保証されている場所などどこにもないですし、逆に完璧に安定した生活があったとしても、人間はそれに耐えられないですよね。それは、安定と逆のニーズ、不安定感というニーズがあるからです。人間には、変化が必要という考え方ですね。
安定感と不安定感は相対するもので、それぞれのバランスを取りながら人は生きているのですが、ここでなるほどと思わせる名言が出てきます。人生の質は、あなたが居心地のよさを感じられる、不安定感の量に正比例する。確かに、自分のストレスにならない範囲で変化に満ちた毎日、というのはちょっと魅力的ですね。だから、不安定な状況に対処する能力を身につければ、人生の質は向上する、ということになります。
重要感というのは、自分は価値のある人間だと思いたい、というニーズです。これは上手く付き合えば自分を動かす強い原動力になり得るのですが、エゴとの関わり方によって建設的にも、破壊的にもなり得ると言います。エゴと結びついてしまうと、自分の欲を満たすため、自分の重要さを誇示するという行動に出てしまうのです。
愛とつながり、というのは誰かから愛されたい、つながりを持ちたいというニーズ。これは重要感と対極にあるニーズです。重要感というのは自分は特別でありたい、というニーズですから、これを求める時点で他人とは分離した状態となります。
さて、安定感 vs 不安定感、重要感 vs 愛とつながり、というようにこの2対のニーズはそれぞれ対立しており、人はそのバランスを取ろうとします。しかし、このバランスを突き詰めることが人生の目的ではない、と著者は言っています。では、何が人生の充足感を決めるのか?それが「成長」と「貢献」です。成長と貢献に関しても面白い論点が色々と紹介されていますが、ここでは以下の文章を引用するに留めておきます。
自分の「失敗や試練」を、世の中に役に立つものに転換させて「成長」し、自分の一生を超えた、永続的な「貫献」という名の財産を残すことこそが、真に満たされる人生なのです。
このヒューマン・シックス・ニーズという考え方。このフレームワークを使うと人間の持つ様々な側面をシンプルに説明できると思います。本書には、これ以外にも様々な考え方・フレームワークが提示されています。内容の半分はビジネス関連ですが、一応起業家のはしくれである自分にとっては、それもとても参考になりました。
全体としてとても読みやすく、面白いだけでなく、読んでいて頑張ろうと思えるような、そんな本だと思います。一度だけでなく、何回か読み直してみたいと思っています。Amazonでもなかなか高評価のようですね。気になったら是非読んでみてくださいね!