今日ご紹介する本は、スクリマー・S・ラオ 著の「幸福論」という本です。正式には、「コロンビア大学の超人気講座 ラオ教授の『幸福論』」というタイトルです。人生に喜びを取り戻すための35の法則について書かれています。
実は僕は、~の法則というタイトルの本を見るとちょっと構えてしまいます。その理由は、実は法則の数に大した意味はなく、言いたいことを並べていったらその数になった、という内容がほとんどだからです。「~の法則」ってつけると売れるっていうセオリーでもあるんでしょうかね?それぞれの項目が論理的につながっていればまだいいのですが、大抵は項目ごとにぶつ切りになっているように感じてしまいます。
この本もその類の本ではないかと思いましたが、読んでみたらなかなか面白かったです。特に、この本に書かれている「幸せ」についての考え方にはとても共感することができました。
そもそも「幸せ」とは何でしょうか。僕もそれが気になって、「幸福」「幸せ」というキーワードで出てきた本を何冊か読んでみました。この本もその中の一冊です。それでは早速、この本の言う「幸せ」について見て行きましょう。
僕たちは日ごろから、幸せという言葉をよく使いますよね。おいしいものを食べて幸せ、誰かと一緒にいて幸せ、などなど。しかし、ここで言っている幸せとはこのようなことではありません。著者は、幸せについて下記のように述べています。
私が話しているのは、そのような機会に感じる瞬間的なうれしさについてではありません。つねにあなたとともにある深い幸福感について話しているのです。自分の人生は順調であり、脇道にそれることはないという確信についてです。
といっても、あなたが幾多の難題に直面しないと言っているのではありません。私が言いたいのは、なすべきことをきちんとやりつつも、自分は根本的なところで幸せであり、これからもずっとそうだろうと意識している、ということなのです。そういう意味での幸福です。
なるほど、色々なことがありつつも根本的に自分は幸せだ、という実感のようなことを言っているのですね。では、どうすればそのような幸せだという実感を感じることができるのでしょうか?
実は、幸せになるためには何も手に入れる必要はないし、どんなものにもなる必要はないと著者は言います。何故なら、人は生まれつき幸福を持っているからです。じゃあどうして、僕たちはその幸福感を感じることができないのでしょう?
ここがこの本の面白い所だと思います。それは、「あなたがこれまでの人生のすべてを費やして不幸になる方法を学んできたから」だと言います。不幸になる方法とは、何かを「手に入れ」れば、何かを「する」ことができ、そうすれば何かに「なれる」・・・というある特定の条件を満たせば幸せになれるという思い込みのことです。このモデルを筆者は「もし・・・ならば」モデルと呼んでいます。
これは僕も実感としてあります。何かを手に入れたらどれだけ幸せだろう、と思い描いていたものを実際に手に入れた時、その瞬間はとてもうれしいのですが、その感覚は長くは続きません。時間が経つにつれ当たり前になっていってしまうんですよね。これが他のことにも当てはまるのだとすると、もし~だったら幸せ、というサイクルは際限なく続いていくことになります。このような考え方が、生まれつき持っている幸福を感じられなくさせているのですね。
そういう意味では、幸福は手に入れるような「モノ」ではなく、「感じる」「気づく」といった類のものなのだと思います。「これでなくてはならない」という執着を捨てることによって、新しい気づきがあるかも知れませんね。
ところで、人は生まれつき幸せなのなら、努力する必要はないのでしょうか?著者はそれは違う、と述べています。やはり、目的のために全身全霊で努力するべきであると。ただ重要なのは、努力した結果成功するかしないかは、幸せとは直接関係ないという点だと思います。
企業家の友人が、年収10億ドルを達成したら、それはとても立派なことですし、人生は素晴らしいと言えます。でも、それができなくても、とても立派だし、やはり人生は素晴らしいのです。
成功か失敗かというのは結果ですよね。僕たちは社会に出ると、結果が重要と言われることが多くなります。でも、本当の意味で結果をコントロールすることはできません。こう行動すれば必ず成功すると信じて、そのとおりに完璧に行うことはできても、望んだとおりの結果に到達できるかどうかは、また別の話だからです。
僕の座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」です。結果は自分のコントロール圏外にあるということを認めて、目標を設定し、望ましい結果を想定したら、あとは何が起ころうとも静かに受け入れること。そんな態度が重要なのかも知れません。
さて、ざっとご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。35の法則のうち、幸せに関する部分だけをご紹介しました。他の法則にもいい事が沢山書いてあります。気軽に読めますので、もし気になった方は是非読んでみてくださいね!