ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか

今日は、ケン・ブランチャード 著の「ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか」という本をご紹介したいと思います。この本は、先日ご紹介した「1分間アントレプレナー 黄金の起業法則」の著者が書いたビジョンについての本です。

この本も「一分間アントレプレナー」と同じく、物語形式で書かれており、とても読みやすいです。基本的にはビジネス書ですが、勿論ビジネス以外にも応用できると思うので、「ビジョン」について知りたい方にはどなたにでもオススメできる本だと思います。

ストーリーの流れは以下のような感じです。しかし、ただのストーリーではありません。ビジョンとは何か、そしてそれをどうやって作り、伝え、現実のものとしていけばいいのかという流れで話が進んでいきますし、所々にまとめ的な記述も出てきます。

思いもよらない夫の浮気、そして突然の別れ・・・専業主婦として夫や子どものためにのみ生きてきた主人公は、シングルマザーとして実社会に身を投じることになる。そして勤め先で、のちにメンターとなる魅力的な男性と出会い、ビジョンをもつことのすばらしさに目覚めていく・・・。(訳者あとがきより)

そもそも、ビジョンって良く聞きますけど、何となくつかみどころがないような気がしませんか?主人公たちも、その状態からスタートしていきます。試行錯誤を繰り返しながら、ビジョンの姿をクリアにしていき、そして最終的に行きついた結論は、

ビジョンとは、自分は何者で、何をめざし、何を基準にして進んでいくのかを理解することである。

という定義です。ここには、三つの要素が含まれています。

  1. 有意義な目的
    上記の定義で言えば、「自分は何者で」の部分になります。これは言い換えれば「自分は何のために存在するのか」、つまり存在意義を問うている部分です。ここでのポイントは、目的の内容そのもの、つまり「what」も重要ですが、「なぜ」の部分、「why」も極めて重要であるという点でしょう。
  2. 明確な価値観
    順番は前後してしまいますが、上記の定義で言うところの「何を基準にして」という部分です。価値観とは、「自分は何を基準にして、どのように生きていくのか」という問いに答えるもの、あるいは目的を達成するために日々どのように過ごすのかのガイドライン、とされています。つまりこれは「how」の部分になります。
  3. 未来のイメージ
    主人公たちは「目的」「価値観」がビジョンを作る上で重要だと気付くのですが、それだけでは何か足りないと感じます。それは、それだけでは目指す方向がはっきりしないということでした。そこで出てくるのが「何をめざし」の部分です。言い換えれば、最終結果に到達した際にどのような未来が待っているかの明確なイメージです。イメージの力は強力です。特に会社のような複数人で構成されている組織では、目的だけでなく具体的な結果を共有しないと、なかなかコントロールが難しいですよね。これが「where」の部分になります。

さて、ビジョンの三要素が出揃いました。基本的にこれを踏まえればビジョンは作れます。しかし、自分が作ったビジョンが要件を満たしているかというチェックリストが本に書かれていました。非常に有用だと思ったのでご紹介したいと思います。

  • そのビジョンは、自分たちの使命をはっきりさせてくれるか。
  • そのビジョンは、日々の決断を正しく行っていくための指針になりうるか。
  • そのビジョンは、めざすべき未来を目に見えるような形で描いているか。
  • そのビジョンには永続性があるか。
  • そのビジョンには、ライバルに勝つだけというだけではない、何か崇高なものがあるか。
  • そのビジョンは、数字の力を借りずに、人々に活気を吹き込むことができるか。
  • そのビジョンは、あらゆる人の心と精神に訴えかけるか。
  • そのビジョンは、ひとりひとりに自分の役割を自覚させるか。

基本的にビジネス向けなので複数人の組織を想定していますが、「自分に」と読み替えれば応用が可能だと思います。

さて、ビジョンが出来てもそれを実行できなければ何の意味もありません。それを実行するに当たって、二つのヒントが紹介されていました。

  1. ビジョンから目をそらさないこと
  2. 一身を投げだす勇気を持つこと

一番目の意味するところは、ビジョンに基づいて行動しなさい、ということです。しかし、何があっても最初に決めたビジョンに固執しなさい、ということではありません。むしろ逆で、ビジョンを実現するための計画や、場合によってはビジョンそのものを変更した方がいいケースも出てくるでしょう。そんな時は、ビジョンを修正して、またビジョンに沿って行動するようにしましょう、ということだと思います。自分が根ざす軸があるのとないのとでは大違いですからね。変える必要があるなら、軸そのものを変えればいいのだと思います。

そして二番目は勇気です。何かを踏み出す際には必ず必要になりますよね。行動をうながす方法論については、過去のエントリでもいくつかご紹介してきました。しかしそれらは、「行動しやすくする」ことはできても、自分を強制的に行動に駆り立てるものではありません。やはり最後は「よし!」と決めて自分から動き出すことが必要だと思います。そこに必要なのは、飛び込む勇気なのでしょうね。

さて、ビジョンについてご紹介してきましたが、かなりざっくりと纏めてしまったので、それぞれが意味するところの詳細が気になる方や、話の「流れ」が気になる方は是非本書を手にとって読んでみてください。皆さんも是非、ご自分のビジョンを考え、行動に移してみてくださいね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です