やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん

今日ご紹介する本は、小倉広 著の「やりきる技術―最高のパフォーマンスを生み出す仕事のきほん」です。僕は特に目的がなくても定期的に本屋さんに足を運んで何か面白い本はないか、と情報収集するのですが、この本もそうやって出会った本です。

本書は、物事を「やりきる」ためにはどうすればいいか、について書かれています。何かを始めたはいいけど、続かなくて途中でやめてしまう。そんな経験、僕も沢山あります。この本のいいところは、「やりきる」ための具体的な技術だけでなく、「やりきる」ことが大切な理由や、何故「やりきる」ことが難しいのか、という考察が優れている所だと思います。

少しご紹介しましょう。まず、「やりきる」ことが何故大切なのか?すぐ思いつくのは、「継続は力なり」という言葉ですね。コツコツと続けていくうちに大きな力になる、ということです。しかし、この本では違った観点からその理由を説いています。まず、「やりきる」ことができないと、「腐ってしまう」という観点です。

できないのであれば、約束をしない方がいい。続かないなら、約束を反故にして、やめてしまった方がはるかにいい。決めたことを守れない風土ができあがってしまうくらいならば、最初から約束をしない方がはるかにマシなのだ。
そして、これは個人にも当てはまる。個人に「負け癖」がついてしまうのだ。「やりきる」ことができない弱い自分に慣れていってしまう。それが一番恐ろしいのだ。

僕もこれは心当たりがあります。何かを始めたにも関わらず、途中で投げ出してしまうことが続くと、少なからず自己嫌悪に陥りますよね。自尊心を守るために言い訳を用意して「しょうがなかった」と自分に言い聞かせてはみるのですが、こうした体験は少しずつ自己評価を蝕んでいくように思います。

そして次は、「やりきる」ことで得られるものという観点。著者は、「やると決めたこと」=約束と捉えて、他人との約束を守ると「信頼」が、そして自分との約束を守ると「自信」が手に入ると言います。「やりきる」ことで継続による大きな力だけでなく、信頼や自信まで勝ち取ることができる、だから「やりきる」ことは重要なのだ、ということです。なるほど。これは非常に共感することができました。

気がつけば、ブログを書き始めて1ヶ月が経ちました。原則毎日更新を目指してきましたが、忙しくて書けない日もありました。でも、何かを始めては三日坊主だった僕にとっては、とりあえず続いているというのはちょっとした奇跡です。

他にも、読書、家計簿、ダイエット、ジム、早起き、等を去年から始めました。それらは、完璧にはほど遠いですが、今も何とか続いています。まだ何一つやりきってはいませんが、とにかく続いている、ということはとても自信になります。著者が言う、自分との約束を守ると「自信」が手に入る、というのは僕の実体験から見ても正しいと思います。

まず小さなことから何か行動してみて、それを達成する。それを繰り返すことで自分に対する評価を改善していくという手法は、カウンセリングでも使われる方法です。小さくても、何か一つ成功体験を得ると、「何だできるじゃん、じゃあ他のこともできるかもしれない」、という気持ちになってきます。

僕がやっていることは、常日頃からしっかりやっている人から見れば当たり前のことです。しかし、それが今まで全くといっていいほどできていなかった僕にとっては、生活改善から得られる実利と、それらを通じた自己評価の改善という一粒で二度おいしい状況になっています。

さて、では何故「やりきる」ことってこんなに難しいのでしょう。著者は、「やりきる」ためのステップは3つあるのだと言います。そのステップとは、「始める」「続ける」「やり直す」です。そしてその3つのステップそれぞれに、落とし穴があります。

著者がこの中でも特に重要だと説くのが、「やり直す」技術。完璧にできないのならやめてしまえ、いわゆるオール・オア・ナッシング的な考え方ではなく、そもそも完璧になんてできないのだから、例え続かなかったとしても何度でもやり直せばいい。まさに、某漫画の「あきらめたらそこで試合終了」ですね。

僕は元々オール・オア・ナッシング的な思考が強かったので、何かを一日サボったら「もうだめだ」となり、そこでやめてしまっていました。でも、一日サボっても、また次の日からやり直せばいいんですよね。そして、やり直すのをやめない限り、失敗したことにはならない。そう考えると、何かを続けるというのは、もっと気楽にやればいいということなのかも知れません。

最後に。これは僕個人の考えですが、上記で引用した言葉、「できないのなら、約束をしない方がいい」というのは、極論かも知れませんが、非常に重要だと思います。気楽にやればいいとは言え、何かを成し遂げるにはそれなりの覚悟が必要です。でも、何かを「とりあえず試し」で始める度に、そんな覚悟はしていられません。そんな時は、「これはお試し」と割り切って、やめる時はスパっとやめてしまうことも重要だと思います。無駄に自信をすり減らす必要もないですからね。

本書には、「始める」「続ける」「やり直す」というそれぞれのステップに役立つ考え方や手法が沢山紹介されています。心理学的な考え方や、精神論、時間管理に至るまで、役に立つポイントが必ずあるはずです。物事を続けられず、知らず知らずのうちに自信をなくしてしまっている方に是非おすすめしたい一冊です。この本に書いてある方法を自分なりにアレンジして、独自の「やりきる技術」を体得できるといいですね!

自己肯定感って、なんやろう?

今日ご紹介するのは、臨床心理学者である高垣忠一郎と、版画家の山田喜代春によるコラボレーションから生まれた絵本、「自己肯定感って、なんやろう?」です。

この本は、自己肯定感という分かっているようで分かりづらい概念を、絵本という形で表現しています。臨床心理学者の高垣さんが不登校の子どもの親御さんに向けて話した講演録に、絵をつけたようですね。講演録ということもあってか、終始関西弁で語りかけるような口調で、なんだかほのぼのします。版画も味があり、全体的に優しい感じがする、いい絵本だと思います。

絵本なのでボリュームも50ページと少ないです。が、読んでみると結構内容は深いです。

自己肯定感というと、自分の中に肯定できる部分を見つけること。そう考えてしまいがちですよね。でも、探しても探しても見つからない人はどうなるのでしょう。そもそも、肯定できるかどうかという基準はとても相対的なものです。その基準が比較的緩やかな人は、自分の中に肯定できる部分を沢山見つけられるかも知れません。

でも、その基準が厳しい人は、肯定できる部分を見つけられずに苦しんでしまうのではないでしょうか。こう考えると、「自己肯定感」という概念を間違って使うと、人によっては余計苦しくなってしまうのだと言えます。

著者の言う自己肯定感はこうです。人にはそれぞれ欠点や弱点、ダメなところはあります。もちろん、無いにこしたことはないですし、それそのものを肯定することはできません。でも、欠点があってもいいんです。欠点を抱えながらも一生懸命生きる、その健気さに免じて自分を「こんな自分でもいい」と赦してあげる。この感覚が自己肯定感と言うのだそうです。

自分のいい所に目を向けましょう!という感覚と、この自己肯定感のニュアンスの違い、なんとなくわかりますよね。

自分にダメな所があることを認めつつも一生懸命生きるためには、そのダメな所を認識し、その上で受け入れる必要があります。それは、ダメな部分がある自分を、「それでもいいんだ」と受け入れてあげるということです。

自分のことを好きになれない人、いると思います。本書の中では、そうなってしまう原因の一つとして広告を挙げています。これは僕も非常に強く共感する部分なのですが、世の中のメディアを見ていると、コンプレックスを刺激するようなメッセージが飛び交っていますね。例えばダイエット広告。見ている人からすれば、「ダメな所」を指摘され、「もっとこうした方がいいですよ」と日々言われ続けていることになります。

また、最近は情報がすぐ手に入るため、どうしても人と比べがちですよね。他人はみんなこうなのに、自分は…。そんな状況では、不安なので無理やり自分の「いいところ」を見つけようとします。前述の通り、それでも見つからない人はさらに苦しむことになりますし、なんとか見つけたとしても、「~だから自分は大丈夫」というように、自分を認めるために条件が必要になってきてしまうんですね。

自己肯定感とは、自分の長所を無理やり見つけることではなく、ダメな部分も含めた自分を「それでもいいんだ」と認め、受け入れること。諦めや開き直りとも違うものだと思います。僕も、「自分はダメだ」と思うことがよくあります。おそらく、自分の理想が高すぎて、それについていけない現実の自分が嫌なのだと思います。そんな自分にイライラせず、きちんと受け入れられるようになりたいと思います。

自己肯定感の意味がよくわかる本書、とてもおすすめです。30分くらいですぐに読めるので、是非読んでみてください。読み終わると、なんだかほっこりしていると思いますよ!

「ありのまま」という才能―性格に隠された成功のヒント

今日は、ロブ・ヤン 著の「『ありのまま』という才能―性格に隠された成功のヒント」という本をご紹介します。著者略歴によると、著者は心理学の博士で、成功の心理学の権威として広く知られている人とのことです。原題は「Personality: How to Unleash Your Hidden Strengths」です。う~ん、大人の事情なのかも知れないですが、副題はそのままの方がよかったような。

この本では、人の性格を7つの特性に分けて考えます。以下がその7つなのですが、こうして眺めているだけでも自分はどちら寄りかな、というのがある程度判断できると思います。この本では、それぞれに対してチェックリストがついていて、質問に答えることで自分がどちら寄りなのかを判断することができます。

  1. 好奇心
    結果を出す「現実派」 vs 先を追い求める「ロマンチスト」
  2. ストレス抵抗力
    プレッシャーに弱い「心配性」 vs ものごとに動じない「楽天家」
  3. 社交性
    ひとりが好きな「孤高の人」 vs 大勢が好きな「社交の人」
  4. 自律性
    行動の前に考える「慎重派」 vs 衝動のままに生きる「奔放派」
  5. 共感力
    ズバリ本音の「率直派」 vs 相手に合わせる「気配り派」
  6. 学習意欲
    学ぶことが命「知識派」 vs 行動で学ぶ「実践派」
  7. 上昇志向
    現状に満足の「のんびり屋」 vs 意欲に満ちた「野心家」

以前ご紹介したビッグ・ファイブによく似ていますね。これらは特性なので、どちらかのタイプに必ず当てはまるわけではなく、どちらの傾向がより強いか、ということになります。場合によっては、どちらの要素も持ち合わせている、ということもあります。また、どちらかが良くてどちらが悪い、というものではなく、それぞれ長所と短所があります。

それぞれの診断結果の後には、タイプ毎にアドバイスが書いてあるのですが、これがとても参考になります。個性は個性として受け止め、どういうことに気をつければいいか、という観点でヒントが書いてあるので、受け止めやすいと思います。また、自分とは逆のタイプの説明を読むのも発見があって面白いですよ。

この本には「はじめに」の部分にとても大事なことが書いてあります。

わたしたちは、性格的な嗜好をある程度もって生まれてきます。科学者によると、性格の半分までは両親から受け継いだもの、つまり遺伝子レベルのもののようです。(中略)

けれども、遺伝子はストーリーの一部分にすぎません。遺伝子はあなたの「ルール」の原型、あるいはあなたという「台本」の最初の原稿をつくりますが、そのあとに受ける教育がその原稿に手を加えるのです。(中略)

大人になったわたしたちにとって、性格のもととなる台本がすべて役立つとはかぎりません。ときには、自分の望みを妨げるような行動を、性格が指示するからです。
ならば、台本は書きなおすことができるのでしょうか?
はい、書きなおすことができます。しかも、あなたはすでにそれを日々行っているのですよ。

この「人は変われる」というメッセージは、とても勇気づけられますね。

それと、この本のいいところは、診断では終わらないところです。最終章には「アクションプラン」という章があり、これから何をするか、を考えるステップが用意されています。行動しなければ何も変わらない、ということなのでしょうね。

さて、最後に。これは僕の個人的な意見ですが、この手の性格診断は活用方法がとても重要だと思います。結果を自分なりに消化して、今後の自分の生活・行動に活かしていく分にはいいと思うのですが、場合によっては、真実かどうかもわからない欠点や短所を「認知」し、「強化」してしまう可能性があると思っています。

性格診断は傾向を出すには良いと思いますが、それだけで人間の性格を表せるほど僕たちは単純ではありません。状況や精神状態等で大きく変わるのですから。診断結果は参考程度にし、それを踏まえて自分はどんな人間なのか、と自分なりに考えてみる必要があるのだと思います。

「変わりたい」と思っている方や、自分を知るためのきっかけが欲しい方にオススメの一冊です。機会があったら是非読んでみてくださいね!

ザ・ミッション 人生の目的の見つけ方

今日ご紹介する本は、ドクター・ジョン・F・ディマティーニ 著の「ザ・ミッション 人生の目的の見つけ方」です。この本の著者であるドクター・ジョン・F・ディマティーニは、ベストセラーになった「ザ・シークレット」にも出てきた人みたいです。小学生の頃に学習障害と診断され、一時はホームレス同然の生活をしていたらしいのですが、今では心理学や哲学、天文学など275以上の分野の知識を身につけているとか。275以上ってすごいな。

この本は、以下のように構成されています。

  • 第一部:人生の目的=ミッションを知る
  • 第ニ部:人生のスキルを磨く
  • 第三部:自分の人生を創造する
  • 第四部:リーダーとしての資質に目覚める

第一部で自分の人生の目的(ミッション)は何かを考え、第二部ではその目的(ミッション)を達成するために何に力を注いでいけばいいのかを明らかにします。第三部ではミッションを元に、自分の人生の総合計画を立てていきます。そして最後の第四部にはミッションを突き詰めていく過程でその分野のリーダーとなり、世の中にどうやって影響を与えていくかが書かれています。

この本の大きな流れを追っていくと、この手の自己啓発本では特に珍しくはない話の進み方のように見えますね。質問を通して自己分析を行って自分のミッションを明らかにし、それを元にビジョンを作る。そのビジョンを生きることで世の中に影響を与える(貢献する)という考え方は、以前このブログでご紹介した本でも度々語られている考え方です。

それでも僕がこの本をご紹介しようと思ったのは、個々の論点の中に非常におもしろい考え方が散りばめられているからです。いくつかご紹介したいと思います。

全ての人は、それぞれの「価値観の優先順位」に従って生きています。そしてその順位は、意識的に、もしくは無意識のうちに感じている「欠落」によって決定されています。

著者は、人生の目的を見つけるにあたって自分の価値観の優先順位を知る事がとても重要だと説いているのですが、それを決めているのは「欠落」だと言っています。欠落とは、自分が満ち足りていないと「思っている」部分のことです。つまり、欠落していると思うということは、それについて価値を感じているということなのでしょうね。

人生の目的のヒントは、自分の好きなこと、夢、ワクワクすること、など比較的ポジティブな部分にあるという考え方が多いですが、人によっては強烈な欠乏感という表われ方をすることもあるのではないか、という点でとてもおもしろいと思いました。

続いてはこれ。

「好きなことをしなさい。お金はあとからついてきます」とよく聞きますが、お金を稼ぐ道が1つしかないという意味ではなく、理想の職業を手に入れたときにやっと人生が花開くという意味でもありません。賢明な人は、何をしているかに関係なく、自分がしていることを好きになるのが鍵だとわかっているのです。

好きなことを突き詰める。言うのは簡単ですが、状況によってはリスクを負わなければできない、現実的に考えたらそんなリスクは取れないと考える人もいるでしょう。一方で、今自分がやっていることと好きなことは関係ない、だから今やっていることは無駄だと考えたり、今やりたくないことをやらない言い訳にしてしまうこともあります。

それに対して、著者は「好きなことをしても、していることを好きになっても、どちらでもいい」と言っています。世の中には多様な考え方があります。好きなことを突き詰めるために大きな決断をする生き方も素晴らしいですが、今やっていることを好きになって、それを一生懸命頑張るという生き方も、やはり立派だと思います。

最後はリーダーシップについて。この本を読んでいて、突然「リーダーシップ」という言葉が出てきたので少し違和感を感じました。が、よく読むと著者が言わんとすることがよくわかったような気がします。「リーダー」というのは上司・部下といった立場のことでもなければ、気質や性格のことでもありません。そうではなく、マインドセット、つまり心の在り方のことを言っているのだと思います。

そういう意味では、誰でもリーダーのマインドセットを身につけることができます。そのマインドセットを身につけるための方法についても触れられています。面白かったのは、「1日30分間、特定の分野について学ぶと、7年後にはその分野のリーダー(ここでは第一人者という意味)になれる」というお話。もしそれが本当だとすると、好きなことをコツコツ7年間続けていたら、気が付いたらその分野の第一人者になれるということですよね。ちょっとワクワウしますね。

人には最低一つ、否が応でもリーダーシップを持たなくてはならない分野があると思います。それは自分の人生です。この本にも「人生の主人公」という言葉が出てきますが、自分の人生をできるだけ思ったように動かしていくために、リーダーのマインドセットを身につけておくといいかも知れませんね。

本書には、ここでご紹介した以外にも沢山の論点が詰まっています。基本はベーシックな内容なので、あまりこういった本を読まない方にもお奨めですし、色々読まれている方にも様々な観点を提供してくれる本だと思います。機会があったら是非読んでみてください。

すずやのとんかつ茶づけ

映画の帰りに新宿にあるすずやというお店でとんかつ茶づけを食べてきました。とんかつ茶づけとは何か?文字通りとんかつをお茶づけにして食べるのですが、最初に会社の仲間に連れて行ってもらった時は「何故、サクサクのとんかつをわざわざお茶づけにして食わねばならんのか」と正直思いました。が、実際に食べてみるとこれがなかなか美味。

まぁとんかつ茶づけと言っても、いきなりお茶づけで出てくるわけではありません。出てくるときは鉄板で出てきて、とんかつには醤油ダレがかかっています。その上に温めたキャベツ。一応お店のメニューに「食べ方」が書いてあります。まず半分はそのままの状態でご飯と共に。次に残った半分をおもむろにご飯に乗せ、お茶をかけてお茶づけにします。

もちろん、お茶づけにしないでそのまま全部食べてもいいわけですし、最初からお茶づけでもいいんですけどね。普通に食べると、結構醤油ダレの味がしっかり効いているのでおかずにぴったりという感じ。お茶づけにすると一気にあっさりして、さらさらっと食べてしまえます。違った味が二度楽しめるので、おすすめですよ。

このすずやさんというお店は、1953年創業の老舗とんかつ屋さんで、当時のお客さんの間で裏メニューとして親しまれていたのがこのとんかつ茶づけだそうです。「とんかつ茶づけ」と聞くと一瞬えっ?と思いますが、ほんと意外とおいしいんです。話のネタにも是非、一度食べてみてくださいな。

しかし、以前にもとんかつの記事を書いたので、まるでいつもとんかつを食べているようですが、そんなことはありませんよ。と思ったら、今朝の朝飯はカツサンドだった…。明日はジムなので頑張ってカロリー消費してきます。

「こんなはずじゃない自分」に負けない心理学

今日は、晴香葉子 著の「『こんなはずじゃない自分』に負けない心理学」という本をご紹介したいと思います。帯には、「自信がない。居場所がない。理解してもらえない。そんな生き方不器用さん達に。」と書いてあり、本屋で思わず手にとってしまった本です。

今まで何ら関わりのなかった自分が心理学という分野に興味を持ったのは、「自己肯定感」という言葉を知ったのがきっかけでした。自分を肯定する、つまり「自分は今のままでいいんだ!」という感覚ですが、漠然と思い描いていた理想と、なかなかうまくいかない現実との狭間で苦しんでいたのでしょうね。この概念を知って以来、どうすれば「自己肯定感」を高められるのかを考えるようになりました。

「このままじゃいけない」、そう思う気持ちが前に進む力になっているうちはいいんですよね。でも、それが繰り返し打ちのめされていくうちに、「こんなに上手くいかないのは何か自分に重要な欠陥があるんじゃないか」なんて思い始めたりします。そうなると、どんどん自分が嫌いになり、自信がなくなり、人は立ちすくんでしまうのだと思います。

そんな状態にならないに越したことはありません。でも、長い人生の中、がんじがらめで前に進めなくなってしまうこと、ありますよね。そんな時にこんな本を読んでみるといいかも知れません。一つの長い話というより複数のTips的な話で構成されており、カウンセラーである著者の優しく、でもどこか力強い雰囲気に勇気づけられます。

この本の中には様々な心理学の理論が出てくるのですが、その中で僕が気に入っているものを一つご紹介します。

僕たちは、感情がある状況から直接引き起こされると思いがちですよね。例えば、ある人に批判された、それによって怒りをおぼえた、という具合に。批判されたことが「状況」、そしてそれによって怒りという「感情(結果)」が引き起こされた、となります。

しかし、本当にそうでしょうか?ABC理論では、この「状況」と「感情(結果)」の間に「思考」が存在しており、実は「感情(結果)」を引き起こしているのはその「思考」だと考えます。状況(Activating event)、思考(Belief)、結果(Consequence)の頭文字をとってABCです。

批判されたという例をもう一度見てみましょう。ABC理論で考えれば、批判されたことによって「自分を否定された」「恥をかかされた」「バカにされた」などの思考が生まれ、それによって怒りという感情が結果として生まれたと考えることができます。

自分を変えるのは簡単ではありません。そして相手を変えることや、自分の身の回りで起こることを変えるのはさらに難しいですよね。でも、思考(受け止め方)を変えることはできます。不愉快には違いありませんが、「この人は自分とは異なる価値観を示しているんだな」と思うことができれば、そこから何か学ぶことがあるかも知れません。

この考え方を突き詰めていくと、もともと世の中に起きている出来事に意味などなく、それに解釈をつけているのは僕たち自身だ、とも言えると思います。ものは考えよう、ってやつですね。何か嫌なことが起きた時、もし違う解釈で少しでも気持ちが楽になるのなら、そういう意味を勝手に「付けて」しまえばいいのかも知れませんね。

このABC理論以外にも、さまざまな考え方を簡潔に、わかりやすく紹介してくれています。自分自身のコンプレックスや人間関係で悩んでいる方に、気楽な気持で読んでいただきたい一冊です。

パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる

今日ご紹介する本は、ダニエル・ネトル 著の「パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる」です。人間の性格を研究する学問である、パーソナリティ心理学の書籍です。

皆さんは性格診断テストをやったことがありますか?質問に答えていくと、最後に「あなたは~タイプです」というように性格を診断してくれます。世の中にはお遊び程度のものから、企業の採用試験に使われるものまで、性格診断が沢山ありますね。それだけ、皆が自分の性格を客観的に知りたがっている、と考えることもできます。

この本で扱うのは、特性5因子論と呼ばれる理論で、人の性格を5つの特徴で表すというものです。ビッグファイブとも呼ばれています。心理学関連の書籍を読むと、現在のところ性格を表現するための仮説としては主流である、と書かれていたりします。

さて、余談ですが人の性格を表すときの考え方に、類型論、特性論というものがあります。類型論は、あらかじめ性格をいくつかのタイプに分類し、それに当てはめていくという考え方。科学的根拠がないと言われてはいますが血液型による性格分類なんかは、わかりやすい類型論ですね。類型論はわかりやすい半面、大雑把すぎるという限界があります。人間の性格を少数のタイプに分けることなどできない!というわけです。

一方特性論では、人間の性格を特徴づける要素を「特性」としてあらかじめ定義しておき、人がそれらをどの程度持っているか(もしくは持っていないか)、と考えます。個々の特性の程度やその組み合わせは無限にあるので、人の性格を詳細に表現できる半面、全体像が見えにくい、などと言われているようです。

ビッグファイブは特性論の一つで、その名の通り5つの特性を定義しています。文献によって名前が微妙に違っていたりしますが、この本に書かれている内容をご紹介します。

  1. 外向性
    外向性がある、というと社交的なイメージを持つかも知れませんが、ここで言う外向性は少し違います。外向性のスコアが高い人は、低い人に比べて日常生活の中で、喜び、欲望、熱中、興奮といった「ポジティブな情動」を示すことが多いのだそうです。ポジティブな情動が多いため、それを獲得するような行動に出やすい、ということですね。
  2. 神経質傾向
    これは名前のイメージが少々悪いですが、外向性と逆の考え方です。つまり、ネガティブな情動をどれだけ持ちやすいかを表しています。不安や恐怖はそれをあらかじめ察知して避けるためにあると言われますが、神経質傾向のスコアが高い人は低い人に比べてその警報装置のアラームの感度が強い、と考えられます。
  3. 誠実性
    これも名前のイメージとは少し異なるのですが、どれだけ衝動を抑制することができるか、を表しています。誠実性のスコアが高い人は、自分をコントロールすることに長けている人であり、低い人は衝動的で、気の向くまま、意志が弱い、などと言えそうです。
  4. 調和性
    どれだけ他者の心の状態に注意を払い、それによって自分の行動を決定するかを表します。つまり、どれだけ人に共感できるかということですね。このスコアとEQ(共感指数)は強く関連しているようです。
  5. 開放性
    最後の一つ、開放性についてははまだわかっていないことも多く、少しわかりにくいです。「経験への開放性」とも呼ばれ、あらゆる種類の文化的、芸術的活動にどれほど関わっているかを表すようです。また、連想の広がりの度合いを示したりもするようです。確かに、天才的な芸術家は普通の人にない発想力を持っていそうですよね。

ひとつ重要な点を補足したいと思います。これらの特性は、スコアが高い=良いというわけではないということです。スコアが高いなりのデメリットのようなものもあるので、単純に良い・悪いではなく個性と考えた方がよいと思います。

ところで、なぜこの5つなのでしょう?ビッグファイブの歴史は、辞書に書いてある「人の性格を表す言葉」を全て調べ、分類していくという地道な作業から始まったようです。それらをベースに、統計的な分析、研究の蓄積を経て整理・統合され最終的に5つの特性に落ち着いた、ということのようです。

面白いのは、この5つの特性に関連している脳の領域や神経分泌物質などが見つかり始めているという点です。そう遠くない将来、ある程度正確に、機械的に人の性格を測れる時代がやってくるかも知れませんね。

この本によると、人の性格を決めるのは約半分が遺伝、あとの半分が人生初期に受けた様々な影響であるとされています。そして、僕たちはそれをくつがえすことはできないようです。では、人が自分の嫌なところを変えたいと思い、また成長しようと努力するのは無駄なあがきなのでしょうか?この本にはそれに対する一つの回答が書いてあります。

個々の人間のもつ特異性は、3つのレベルから考えることができます。一つはこのビッグファイブの特性のスコア。二つめは特徴的行動パターン。そして三つめがパーソナル・ライフストーリー。一つめの特性に関しては、前述の通り後から変えることはできません。では、あとの二つは何でしょうか。

特徴的行動パターンとは、例えば「外向的である」という特性を持っていたとしても、その表れ方は個人によって違う、ということです。そして、その外向性をどのように表現するかは、ある程度選択することができます。そしてパーソナル・ライフストーリー。これはつまり自分をどう見るか、ということです。アイデンティティと言ってもいいですが、これについては僕たちは様々な方法で見直したり、作り直したりすることができます。

特性は変えられないとしても、その特性をどのように活かし、そして自分をどう定義するかは自分次第だということです。僕はこの考え方がとても気に入りました。人間の性格という身近なようでよくわかっていないものをわかりやすく解説してくれるこの本、それほど難しくないので興味のある方は是非読んでみてください!

潜在意識が答えを知っている!

今日は、マクスウェル・マルス 著の「潜在意識が答えを知っている!」をご紹介したいと思います。著者のマルス博士はもともとは形成外科医だったのですが、その後患者の心に興味を持ち、心理学、誘導ミサイルの技術から催眠術まで幅広い研究をし、原著を完成させたが1960年。既に博士は亡くなっているのですが、この本は半世紀にわたって3000万人以上の人に読まれたという名著です。

本書は、人間がいかに目標を達成するかというサイコ・サイバネティクス理論という科学理論について書かれた本です。しかし、内容は難解ではなく、一般の人が読んでもわかりやすいように書かれていると思います。

サイコ・サイバネティクスの理論によると、人間の心には潜在意識というものが存在します。顕在意識(※)と潜在意識。まるで二つの心があるかのようですが、著者によると潜在意識は心というより脳と神経系から成るメカニズムで、顕在意識によって「自動的」に作用し、その人を方向づけるものだそうです。

※ 僕たちが自分の意識だと自覚している意識のこと。

さて、潜在意識が自動的に作用すし、方向づけるとはどういうことでしょうか?顕在意識で一旦目標を設定すると、後は潜在意識が自動的にその目標を達成するためにその人を動かす、ということです。まるで誘導ミサイルのようですが、著者はその仕組みを知るために誘導ミサイルの技術を勉強したんでしょうね。

「自動的に」というところがポイントで、目標の設定を間違えると、誤った目標を達成しようとしてしまうわけです。つまり、成功イメージを目標として与えれば成功に向かっていきますが、失敗イメージを目標として与えてしまうと、どこまでも失敗を追いかけてしまうわけですね。

失敗イメージを目標にするなんてこと、あるはずがないと思うかも知れませんが、例えばとても大事な仕事に取り組んでいて、「失敗したらどうしよう」とばかり考えていたとすれば、意識が向くのは当然失敗イメージの方です。そうならないために、成功をイメージして、正しい方向に目標を設定してあげる必要があります。

目標設定についておもしろい記述があったのでご紹介します。

春に生まれたリスには、冬の経験がない。それでも、秋にはせっせと木の実を貯え、食糧が獲れない冬の間をしのぐ。渡り鳥も、巣作りや飛行を教わらない。
(中略)
にもかかわらず、寒い冬が訪れる時期、それに何千キロも離れた温暖な地の正確な場所を「知っている」のだ。
これを説明しようとするとき、私たちはたいて、動物には「本能」があるからだと口にする。この本能を分析していくと、動物が環境にうまく適応する仕組みを持っていることがわかる。いわば動物は「成功本能」をもっているわけだ。

なるほど、確かに本能のなせる技というのはすごいですね。ただ、動物はその目標を自ら定めることができないと著者は言います。一方人間は、もっと複雑な成功本能を持っています。何故なら、さまざまな目標を自ら生み出すことだできるからです。この成功本能のことを「創造的なイマジネーション」と呼びます。

ではどうすれば潜在意識の力をうまく使って目標を達成できるのでしょうか。そのための5つの基本原理をご紹介します。

  1. あなたに内蔵された成功メカニズムには、目標やターゲットがなければならない。
    目標がなければそこに向かうことはできません。目標やターゲットは「すでに存在している」ものとして思い描くこと。
  2. 自動成功メカニズムは間接的に作用する。
    目標をきちんと設定したのなら、そこに至る具体的な手段が現時点でわからなくても大丈夫。手段を提供するように機能する。
  3. 一時的な失敗や誤りを恐れない。
    どんな誘導装置も、一発で目標に到達することはありません。前進し、誤りを修正しながら軌道修正していくものです。
  4. どんな技能も、試行錯誤によって身につけることができる。
    失敗を修正しながら学習を続ければ、過去の誤りを忘れ、成功した反応を覚えて模倣することができるようになります。
  5. 自分のメカニズムがきちんと働くと信頼しなければならない。
    メカニズムは、自分が行動し、行動によって要求が出されて初めて働きます。保証が得られるのを待って行動するのではなく、保証があるかのように行動することです。

大事なのはイメージをどう持つかです。本書には上記以外にも、とても有用なヒントが散りばめられています。最後に、僕が好きな一節を引用しておきます。

不可能は単なる見解にすぎない

なんか勇気づけられますね。何か達成したい目標がある、という方にオススメの一冊です。是非読んでみてください。